「 」
ふと呼ばれた気がして振り返った
そこには誰も居なかった
何も、残っていなかった
#君の声がする
一般的に“好きだ”と伝えるのが難しいと言われているけれど、私はそうは思わない。
「好きだよ」
「ほんと?えへへ私も好き」
ほらね、好きだって伝えるのは簡単だけど、私の本当の気持ちまでは伝わらない。
どこまでも友達の延長線で、私の“好き”と彼女の“好き”が交差することはないのだから。
「あーあ、こんなに好きなのになぁ…」
「何、どうしたの?」
「ううん、このままだと“好き”がカンストしそうだなーって」
「ふふ、私への?」
くすくすと微笑む彼女はさながら天使のように愛らしい。
「そう、可愛くて好き、努力してて好き、優しくて好き、ちょっと天然な所も好き、笑顔が好き、全部好き、私が男だったら迷いなく彼女にしたい子ナンバーワンだからね。」
半ば自暴自棄に冗談と本音を交えてそう捲し立てると彼女はパチパチと目を瞬かせてこちらを見つめた。
「なーんて…
冗談だ、とはぐらかそうとした。
そこまで言ったところでトンっと胸を押されて視界が反転する。
「それは光栄だね。だけど、」
ふわりと彼女の香りが近づき、気づけば私の視界は彼女でいっぱいになっていた。
「!?…へ、」
「…私は今のままの貴方を彼女にしたいかな、なんて。」
先程までの天使のような愛らしさはどこへやら。
まっすぐ瞳を射抜かれて、もはや声にならない声しか出てこない。
「ふふ可愛い、…好きだよ」
そう言ってふわりと笑った彼女にクラクラと目眩がした。
拝啓
どうやら私の本当の気持ちはずっと伝わっていたようです。あとくれぐれも彼女が可愛いからと油断してはいけません、沼です沼。
敬具
今はただ、過去の自分にそっと伝えたい
#そっと伝えたい
貴方を傷つけないためなら
針でも毒でもなんでも飲んでやろう
嘘をつくなら墓場まで
#やさしい嘘
君は一人しかいない
君の代わりは誰も居ない
その分責任も努力も苦労も人一倍多い
でも決して独りではないんだよ
ただひとりの君へ
辛い時はいつでも頼ってください
頼り方を忘れてしまう前に
そう、誰かに言って欲しかったのかもしれない
もう大人になってしまった
#ただひとりの君へ
君と一緒に見る景色はどこまでも美しく
君と一緒に過ごす時間はどこまでも楽しく
君と一緒に生きる世界は何よりも輝かしい
また旅を始めよう
ワクワクしながらモンスターボールを手に取った
あの日の続きをもう一度
#君と一緒に