No.33:『終わり、また初まる』
悲しいことの連続は活動写真のやうですね
鮮やかに この胸を 傷つけて尚愛おしい
なにゆえ 人は 誠を求め 嘘を 嫌うのです?
フィルムに 焼きついた 嘘には
熱をあげる といふのに。
No.32:『星』
まだ見ぬ星をつくるため 僕らは楽園を離れたかったんだ
あなたの眼に映る宇宙(そら) わたしの目指す空 いつまでも重ならない
すべてを0に戻す 君が突然ひとりで泣いたりしないように
神様の目を盗んでふたりきり おでこに誓いのキスをください
青い林檎を持ち去った夜は よく眠れなかったんだ わかるかい?
つたない言い訳を残してきたの 「真実を育てることからはじめます」
No.31:『願いがひとつ叶うならば』
願いごとが1つ叶うならば
消え去った願いの数だけ
失恋の痛み止めを処方して
ひりひりと騒ぐ
心臓の高鳴りを帳消しにして
頼むよ
No.30:『嗚呼』
駐輪場 自転車さがしてたら すかし前髪揺れて 春がくる
「あんただけ特別」 あの日焼きそばパンをくれたのは ただの気まぐれ?
昨日、想いを伝えるつもりだった 「彼女いる」噂を聞くまでは
とったとか とられたとか みんな話したがる 他人の恋愛事情
悲しくて泣いた 誰にも届かない涙を またひとつぶ生み出した
「置いてくぞ」 サドルに跨る君にも とっくに春は来ていたんだね
恋する時計の針は瞬きの早さで進むって 今気づいた
もう遅い 嗚呼っていう隙もなく 君は遠ざかっていく午後2時
No.29:『秘密の場所』
他人には悩みなんかなさそうに見えてるなら 嘘を突き通せば?
友達の友達みたいな 知ってるようで知らない関係でいい
さようなら、あたしが埋もれた3年間 教室の窓を抜け出る
体がいうこときかないんじゃなく、頭で理解できてないのかも
鍵穴を指で塞いだ 君以外立ち入り禁止の音楽室
ふさわしい言葉はどこかに行っちゃって 憎まれ口で声を枯らす