no.30:『嗚呼』
駐輪場 自転車さがしてたら すかし前髪揺れて 春がくる
「あんただけ特別」 あの日焼きそばパンをくれたのは ただの気まぐれ?
昨日、想いを伝えるつもりだった 「彼女いる」噂を聞くまでは
とったとか とられたとか みんな話したがる 他人の恋愛事情
悲しくて泣いた 誰にも届かない涙を またひとつぶ生み出した
「置いてくぞ」 サドルに跨る君にも とっくに春は来ていたんだね
恋する時計の針は瞬きの早さで進むって 今気づいた
もう遅い 嗚呼っていう隙もなく 君は遠ざかっていく午後2時
3/9/2025, 9:14:09 PM