NoName

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2/27/2025, 8:26:14 PM

no.20:『cute!』
可愛いって一瞬だけで作れるし
あっけなく 流れ落ちる
マスカラ

2/26/2025, 10:44:26 AM

no.19:『記録』やや平成味短歌

着メロが鳴るまで待ってる恋なんて
記録に残してどーすんの?

2/25/2025, 12:37:59 PM

no.19:さぁ冒険だ


「タンクトップとジーンズ。それからスタジャンにペンシルスカート」
チカは僕のノートをすぐさまメモ代わりにした。ラフなタッチの絵なのに、何が描いてあるか一発でわかる。チカにも充分魔法使いというカテゴリに入ると思う。

「月世界に行く時、どちらが映えるかな?あ、光もののビジューパーツがついた服はやめた方がいいんだっけ?」

他人のためだけでなく、時々は自分のために魔法を使う。チカはそうやって何度も危ない場面を切り抜けてきたのだろう。
異様に迷子になりたがるのも、次々に新たな冒険を提案するのも…チカの防衛術のひとつなのかもしれない。

2/24/2025, 10:02:32 PM

no.18:『一輪の花』

綿毛 クローバー 子兎

生まれたばかりのいのちで

いっぱいの野原を 眺める

坂の下の チューリップ

鉢植えにひとり座って

腰は 日に日に曲がりだす


昼ののんきな日差しにさえ

たどり着けない日曜日

ハラハラ 花びら散っていた

2/23/2025, 2:20:43 PM

no.17:魔法


チカは階段を下り続けた。地下道の暗闇はまだ見えない。

「魔法をかけるためには才能が必要。でも、魔法にかかる才能もあると思う」

チカは手摺の上に手を置いても決して触れようとはしない。コーヒーを無理やり流し込む時のぶっきらぼうな態度で、パンプスの爪先を地下道に向けている。
それは天邪鬼というより、ささやかな抵抗に近いと感じた。

「サトルみたいに両方持ってる人は希少価値が高いってこと、いい加減気づいたら。自分の才能認めて腹を括ってみなよ」

チコはそれきり黙って、黙々と階段を降りていった。
僕もチコの3歩後を歩くだけだ。
コーヒーブレイクと同じ原理で、僕には突っかかってくるけれど、チカなりに気を遣ってはいる。照れ臭さをごまかしたくて、今も口を噤むしかないのだ。

チカの心が少し顔を覗かせた。でも、その相手が何故僕なのか……どうしてもはっきりしない。

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