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8/2/2025, 2:14:30 PM

#波にさらわれた手紙

    秘めた思いが秘めきれず、


    溢れる気持ちを文字に起こし


        5枚の用紙に納めた。


   溢れる気持ちは止まったが、その紙を


    破ることも、捨てることもできず…


   だが、知り合いが目にすれば確実に解る。


      途方にくれていたその時、


    前方からやって来る大量の人の波


避けるのに避けきれず、ぶつかっては謝るを繰り返す


       そして、気がついた。


   先程まで握りしめていた手紙がない


              ……あぁ、ありがとう

7/27/2025, 1:43:06 AM

#涙の跡


それを目にしたのは、偶然だった。


いつもの塾の帰り道、


クラスのヒエラルキートップに君臨している


私、可愛いから何でも許されるよね?系女子『秋月』


あれは他校の生徒だろうか?無理矢理に腕を組んでいる


ウザがられている空気が流れているが、


わかっていないのか、わかっていてわざとなのか…


後者だろうな。


それでもめげずに行けるメンタルには喝采を送りたい


しばらく見ていると、何かを言われたらしく


秋月は、その場に呆然と立ち尽くし


他校生は行ってしまった……。


このまま進むと秋月の前を通ることになる。


だが、我が家は進まないとたどり着かない。


無だ!!無になって、真っ直ぐ前を見て通り抜けろ!!


だが、古今東西 見るな、開けるな は、


成功した試しがない。


案の定、過ぎ去る瞬間チラリと視線を向けると


睨みつけた瞳と目があってしまった。般若だ!!


それにしても、涙の跡…………黒ッ!!!!

7/18/2025, 1:47:03 AM

#揺れる木陰


セミの大合唱が響く夏の暑い日……


あの頃、この閉鎖的な空気が大嫌いで、


高校卒業してすぐに、遠い地に就職


がむしゃらに、居場所と仕事に没頭した。


ただ、時々 ふっと目に付く『人工的』に作られた


公園の木々が作り出す『自然』を目にしたとき、


無性に込み上げる。何か―――


ぐっと奥歯を噛み締めて、


目の端に盛り上がろうとする水分を、


瞬きを繰り返すことで追い払う。


子どもたちの楽しそうな声を背中に、


揺れる木陰を眉を下げた羨望の眼差しで睨みつける

6/7/2025, 12:55:39 PM

#夢見る少女のように


『ま、さきッさん…?真希さん!!来てくれたの?やっと、来てくれたのね。私待ってたのよ』

『……母さん、俺はまきだよ。あんたの息子の…、真希だよ』


このセリフを何度口にしたことだろう。


小さい時は、まだ正気に戻る間も長かった、


この頃、俺は似てきたのだろう。


来もしない、父親とは名ばかりのクズに………


ただ、母の顔を見ると、言えなかった。


その瞳はまるで、夢見る少女のようで

6/2/2025, 11:47:29 AM

#傘の中の秘密


  テストが近づくと立ち寄る町の図書室…


    窓から見える景色は、一面のアジサイ


      ふっと視線を上げた先に、


    話したことのないクラスメイト


   わざわざ雨の中、紫陽花を見に来たのかと


     手元に視線を戻そうとした一瞬、


      涙が流れるのを見てしまった。


   慌てて顔を上げるが、もうその顔は深く


        傘に隠れていた

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