#揺れる木陰
セミの大合唱が響く夏の暑い日……
あの頃、この閉鎖的な空気が大嫌いで、
高校卒業してすぐに、遠い地に就職
がむしゃらに、居場所と仕事に没頭した。
ただ、時々 ふっと目に付く『人工的』に作られた
公園の木々が作り出す『自然』を目にしたとき、
無性に込み上げる。何か―――
ぐっと奥歯を噛み締めて、
目の端に盛り上がろうとする水分を、
瞬きを繰り返すことで追い払う。
子どもたちの楽しそうな声を背中に、
揺れる木陰を眉を下げた羨望の眼差しで睨みつける
7/18/2025, 1:47:03 AM