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10/8/2023, 9:04:48 AM

#力を込めて



通夜も葬式も終わり、脱け殻のように



自宅のいつもの席に座り込んでいる。



不意に電話が鳴った。



メモを取るため、そばにあったメモ帳を引き寄せた



時が止まった···。



折り返すと言い、電話を切る。



メモを薄く鉛筆で塗りつぶしていくと、



〖結婚式楽しみ 絶対幸せにする〗



浮き出てきた文字に、



「筆圧、強すぎ」

10/4/2023, 10:29:37 AM

#踊りませんか?


街灯ひとつない満月の美しい夜だった


言葉はない、ただ手をさしのべて


恭しく一礼している


一度手を伸ばすが、戸惑い引っ込める


   辛抱強く待つ相手に


        身を委ね


             手を差し出す


 シルエットのみだが、楽しそうに優雅に踊る


12時の鐘が鳴り響く     ·············ガチャ


「影絵で遊ぶの禁止って言ったでしょ?明日学校!!」



Shall we dance?

9/30/2023, 12:38:46 PM

#きっと明日も


     「ありがとうございました。」


      コンビニのレジ横の募金箱


   あの人は必ずお釣りを全額募金していく


    今日は7000円以上入れていったな···


       理由があるのだろうか?


  毎日バイト時間とあの人が来る時間は同じだ


    次、会ったら理由を聞いてみよう

9/29/2023, 2:06:25 PM

#静寂に包まれた部屋



      何もない部屋だった


      〖静寂に包まれた部屋〗


         聞こえるのは


     ドクドクと耳の奥からする


          命の音

9/21/2023, 4:02:47 AM

#大事にしたい


残暑厳しい9月、私は父親と喧嘩して


日本を飛び出した。


もう、二度と帰らないつもりで、


パスポートと最低限の荷物を積めた鞄を手に、


当時付き合っていた彼の故郷であるスペイン行きの


チケットを片道分だけとった。


そこからは最悪な展開だった。


彼のとなりに眠る知らない女。


帰ることも、この街にいることも


出来なくなってしまった。


不運は続くもので、


財布を入れていた鞄を盗られて


警察に行ったが、


『ジャパニーズ?平和ボケしてるからね君たち』

 
泣きたくなった···。


道端に座り込んでいると不意に肩を叩かれた。


顔を上げると北欧系の50代ほどの男性。


全然似てないのに、父を彷彿とさせ、涙が溢れた。


そのまま肩を抱かれて泣きながら連れてこられたのは


彼の自宅だった。


同じ年代ぐらいの奥さんであろう女の人が、


男性に文句を言った後、豊満な体で私を抱き締めた。


落ち着きを取り戻し、食事をご馳走になりながら


それまでの事情を話すと、


『命があってラッキーだった。』


『家族の大切さが理解できてよかった。』


そのポジティブさに救われた。


ふと目についた、たくさんの写真。


子どもかと聞くと、そうだと笑顔で教えてくれた。


でも、先に神様のもとで私たちを待っているんだ。


せっかちな子だよっと······。


それから、夫婦の仕事を手伝い、


ホームステイさせてもらいながら、


なんとか帰るためのお金をためた。


また必ず会いに来ると約束して、


私は今、日本行きの飛行機に乗っている。

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