#「流れ星に願いを」
「ねぇ、こと座流星群って知ってるか?」
出現数がとても少ないんだって
と、今隣で楽しそうに語りかけてくる
私は少し軽口を交わしたくなりこう言った
「彼女と会えなくなってから大分知識が豊富になったね
どんだけ暇なの??」
そう言うと分かりやすく頬をふくらませた
少しして遠い目をして言った
「でも、出現数が少ない上にそんなに流れないんだって」
なんだかロマンチックだね……
僕も君にとってそんな存在でありたい……と
私は言葉に詰まって微笑むことしか出来なかった
今日は貴方の5回目の命日
貴方が好きだった「オレンジピール」を添えて
私はその場を去ることにした
あァ、何度願ったことか
私にとって貴方がそんな存在であって欲しいと何度願ったことか
もう一度会えたらと何度願ったことか
お願いします。
あの安らかな時間をもう一度
こと座流星群が流れるこの夜に、私はそっと願いを込めた
この世界からルールが消えた
そうなって初めに気づいたのは自由ってのは案外残酷なものだと言うこと
自由になるというのは即ち、自分の思うままに考えてもいいということになる
別の考え方をすれば、これからは全部自分で決めなきゃいけないという事だ
何をするにも頼れない
これから僕らは、逃れられない自由の果てに守られ、貶され、生きていくのだ
生きる権利なんてもうなくて、
職業を選べる権利もなくて
只々、お金を持つ人だけが上に立っていく
あァ、自由は残酷だ
搾取と略奪に世界が塗れてしまう
何時だって僕らの価値を決めるのは僕らじゃなかった
だが、これからは自分の値札も自分で決めなきゃ行けないのだ
今から僕らは自由に捕らわれる。
あァ自由はなんて残酷で美しいのだろう
#「ルール」
#「今日の心模様」
私は昔から他人の心が読める
読めた気になっているとかそんな馬鹿な意味ではなく分かってしまう
私だって読みたくないのに、
無駄に良く回る頭脳が答えを導かないと気が済まないのだ
私が出会った人間は全員が嘘をつき、笑みを貼り付け、自分は孤独になった気でいる
辛いのだ、苦しいのだ助けてよと叫びたい気持ちを、心の中で留めている自分のことを誰もが可哀想と感じ被害者になる事を望んでいる
結局の所ナルシストだ
其れに赤子でさえ、甘やかされている事に優越感を覚えていたのだ
この世は腐っている
只、その行為自体を私は否定したいわけではない
私だって嘘はつくし、というかホントの事がよく分からないし
何が自分なのか分からないし、愛も分からない。
その上、生きる理由も見つからない
見ての通りのダメ人間で人の事を言えた立場じゃないからだ
けれど。周りの人間のように助けてと言うほど辛い経験をしたことが無い。
私は幼少期は外国の貧民街で育ち親にはひたすらに殴られ、街の人からは『悪魔の子』だのなんだのと言われ炙られもしたが
辛い。苦しいと思ったことがなかった
辛い。苦しい。は唯の感情でそれ以上でも以下でも無い
感情ってのは面倒なものらしい
なら感情なんて忘れてしまえば良い
考えるだけくだらない。どうしようもない事だし
だから必死に求められる自分を演じた
其れが最適解だと踏んだから
誰かに助けを期待することも、生きていくことも
その行為に絶対なんてなかった
だから私は価値を見いだせなかった
誰もが哀しみを比べたがっている
自分が1番可哀想だよ。だから助けてと
くだらない。そんな事しても意味ないのに
何も変わらないのに
昔、とある私の世界の友人に言われた
「お前は相当なナルシストで死にたがりだと」
そうかもしれない。
今の今まで自分語りをして、
同調を買って欲しい私は相当なナルシストで被害者になりたがっている
そしてどうしようもなく心模様も死にたがっている
其れに気づけたのは私と、電車で狸寝入りを決め込み私のスマホを覗いていた、とある殺人者だった
#「それが間違いだったとしても」
私はある時、嘘を吐いた
私はある時、嘘を信じた
私はある時言葉を飲んだ
私はある時、考えるのを辞めた
私はある時人間不信を、覚えた
私はある時爪を立てた
私はあるとき花瓶に触れた
私はあるとき、笑顔を辞めた
私はある時媚びを辞めた
私はある時、
私はある時。『人間』として生きるのを辞めた
期待してもダメだったから
人間として生きたいと思ったことが間違いだったとしても、もう関係ない
今からここを飛び降りるんだからさ
目の前に涙を流している少女がいる
其れは、とても苦しそうでいながら口元には微笑を浮かべていた
道化を演じるのを辞め、憔悴しきったような笑みに私は思えた
私は何故か手を差し伸べようとしていた
ほおって置けなかったようだ
だが、あと数cmの所で辞めた
遅すぎたからだ
目の前に居たのは鏡に写った
今日初めて涙を覚えた自分自身であった
#雫