「すみません。頭が痛くて‥。
微熱もあるので‥、大事をとって今日
休みたいんです。はい‥はい‥失礼いたします。」
出勤30分前にかすれた声で電話をかける。起きたついでに台所に行き
冷蔵庫から麦茶を出しコップ一杯ゴクゴクと一気に飲み干す。
「あー頭痛い‥」と誰もいないのに
口に出る。
昨日は友達と日付変わるまで
飲んで声がかすれる程語りあかしたのだ。
平熱が高い私には微熱は平気で動ける。だけど、起きた時点で会社に間に合わないと気づいた時『今日ぐらい休んじゃえ!』って耳元で悪魔が囁いた。
“明日までには少しでも元気になれるように体も心休ませよう”そう思い布団に入る。
大好きから、大嫌いになったあの人を
思い出す前に‥。明日会社で「大丈夫?」と聞かれたら「(色々な意味で)大丈夫です。」と笑顔で話せる事を想像しながら
目を閉じた。
二十代前半は1回目の結婚ラッシュ。
地元の友達の結婚式に参加する事が
多く、結婚より結婚式に憧れる。
「ステキなウェディングドレス
ステキな結婚式だったなぁ。私も結婚
したいよーっ」って思いだけ先走る。
二十代後半は2回目の結婚ラッシュ。
地元を離れて進学、就職後の友人や同僚の結婚式に参加。段々と世間から
「結婚しないの?いるんでしょ。
いないの?選んでいるからだよ。」
なんて、声を愛想笑いで誤魔化しながら
「30歳前には嫁にいきたいなぁ」って
漠然と思っていた。
三十代前半はチラホラ周りで離婚の話を聞き出す。「独身が楽しいんでしょ」なんて親戚から言われ出す。「うん。」
って面倒なのでそう返事しながら
「男友達くらい欲しいよね」そう思って
気軽に出会い系サイトに入力する。
三十代後半は育児真っ最中。
今、思い出しても怒涛の勢いであまり記憶がない。
そんな縁からの出会いで
そこからのお付き合いしての
結婚だったけど今年も無事結婚記念日を
迎えられました。
来年も一緒に迎えられる様に願ってます。
十数年前、友達の家に遊びに行った時の話。
「ちょっと待って。今押し入れから出すから」と言って押し入れを開けた時
見覚えのある、白く長く大きな物が見えた。渡してもらう物より“それ”が気になって確認してみる。
「“それ”って結婚式の時の‥?」
「そう。キャンドルサービスで使ったやつだよ。」
「もらえるの?何の時に使うの?」
「そう。結婚式後にもらえるんだけど‥
結婚記念日に点火するらしいよ。
使ってないけど‥。停電になったら使うかな‥。」
と、何とも言えない顔で友達が押し入れを閉めた。
あの頃の結婚式って
ウェディングケーキ切ったら回りながら
シャボン玉やスモーク出てたなぁって思い出す。
平成も遠くなりました。
ふと、気がつくと桜の葉が
緑から黄色になり、オレンジから
濃いオレンジへ、秋色に変わってきている。
子供と公園からの帰り道。
河川敷の桜の木の横を歩いてた時
風が少し強めに“ごぉう”とふいた。
桜の黄色から濃いオレンジ葉が
ハラハラハラ‥と舞い落ちる。
「葉っぱきれいね」
「そうだねー。」と返事をする。
桜の花が舞い落ちるのも綺麗だけど
桜の葉が舞い落ちるのも綺麗なんだね。
あなたが教えてくれたから秋の楽しみが
また一つ知る事ができたよ。
テレビを見ている婆ちゃんの
隣にぴったりとくっつく。
どこにも行かないと分かっているのに
婆ちゃんのエプロンをぎゅと握る。
「そんなに怖いなら見なければいいのに」
「だって見たいんだもん」
子供の時見ていた
夏休みの特集『怪奇特集!!あなたの知らない世界』
白い手がいっぱい出たり、天井に‥。
番組を見た後は1人になるの怖くて
お風呂をいつもの半分の時間で出できたり、電気点けたまま寝たりした。
今は大人になっちゃて怪奇特集を見て「CGでしょ」なんて家族の前で言っちゃけど、やっぱりお風呂から出るのが
ちょっぴり早くなる。