ほんとに好きかどうかも実は分からない
危ういところにいる僕の半端な気持ちが
何もかも完璧なあの子に届くはずもない
#不完全な僕
星月夜をいっぱいに浴びた月見草に降りる朝露を集めて香水を作ってた
黄昏と夜明けの間に咲く宵待草
それがどんな香りの花かなんて
もうどうでもいいの
…あなたは今日も来なかった
#香水
--ものすごくうるさくて、ありえないほど近い--
今日の夕方はストリーミングで映画鑑賞していた。2001年の米国同時多発テロで亡くなった父の遺した秘密を探す少年。物語後半に出てくる倒壊前のタワーから落下する人の写真に、当時同じような報道写真を見たことを思い出し鳥肌が立った。
作中で少年は、多分この人は父だと思うけどきっと同じように思う人がたくさんいるだろうと言っていた。その衝撃的なセリフに別な報道映像を思い出した。
それは事件後の現場付近で向けられたマイクに向かい、父を探していますこの建物にいたんです…と泣きながら懸命に訴える少女の姿だった。
彼女のお父さんは見つかっただろうか。理不尽に奪われた幸せ。悲しみしか生み出さないテロや戦争はあってはならない。
#やるせない気持ち
いくつもの山を越え街を通り過ぎ ようやくたどり着いたのは夜明け近くだった
貝殻の中のような潮騒の音 スローモーションのように寄せては返す波が呼んでいる
ここからできるだけ遠くへ行きたいと願ったけれど 望んだ最後の地は故郷だった
波間の夢から覚める前に 朝が始まる前に
海へ いま還る
#海へ
(これから散骨をするあのひとへ)
仲良しだったあの子と毎日1行ずつ交代で書いていた創作物語があった
ちぎった1枚のノートにあの子の綺麗な字と自分のひしゃげた字が交互に並ぶ
何度も折りたたまれ鉛筆の文字は煤けてしまったけどずっと捨てずにとっておいた
数少ないあの子との思い出の品だから
#いつまでも捨てられないもの