落ち葉が歩道を埋める坂道を
がさがさと豪快な音をたてて歩く
楽しいね　こういうの好きだな
風が吹くたび黄色い葉が降ってくる

粉々に細かになった歩道の落ち葉
しんと静かな冷たい空気に響く靴音
もう冬だね　あの日は楽しかったな
風が吹くたびあの人の声が聞こえる

#冬の足音

いただきものの大根のほかに
ワカメのつくだ煮とトマト
好物のご飯のお友もつけました
マグロのカマ煮は売り場を三周して
探したけど売ってなくてごめんね

あったらいつでも、でよかったのに
売り場で一生懸命選び歩く小さな姿を
思ったらなんだか切なくなって
嬉しいような　申しわけないような
そんな感情を感謝というのかな

箱いっぱいに詰められた
母からの贈り物がもうすぐ届く

#贈り物の中身

窓の外には知らない世界があった

山々を越え海を渡って見下ろすと
心惹かれる素敵な景色や街並みに
いくつも出会い別れて飛び続ける

どこまでも飛んで行ける気がした
今はこの部屋から出られないけど
誰にも知られない秘密のひとり旅

誰にも見えない羽根があったなら

#透明な羽根

もう今は電源も入らない
パスワードも分からない
とうに解約してしまった
でも　持ち主だった人の
手のひらの温もりが残る
いくつもの想い出が残る
古い携帯電話は　そんな
この先開けることのない
封印された　記憶の宝箱
宝箱の秘密はきっと永遠

#秘密の箱

色合いや形が気に入って
何年も着古したデニムが
しっくりと肌に馴染んで
色褪せ擦り切れてもまだ
手放したくないと　思う

それは
恋が愛に変わってく感じ
だけど
藍よりも濃い恋した時間

やがて藍は薄藍にそして
限りなく優しい白になれ

#愛ー恋＝？（infinity）