短めのスカート
ヒールの靴
きれい色のニット
…全然似合っている気がしなくて
夜景のバー
恋バナ
夜更かし
…下戸だし完全に浮いてる気がして
貴方といる私は
なんだか自分じゃないみたい
なのに私は 貴方は
…何故逢う約束をするの
#好きじゃないのに
レーダーの雨雲動かす雨女
#ところにより雨
ちょうどいいタイミングで晴れてきた
朝からの荒天が観光客を足止めして
僕らは今 絶景を二人占め
君はきっと
神様のお気に入りだね
僕にはそんな君が
#特別な存在
ふぅん そんなにいいんだ
夢中でシャッター切る 視線の先は
艶やかな衣装のセンターアイドル
メイクもバッチリ キメポーズで
弾ける笑顔のあの子の 視線の先は
無数のレンズに映る自身の姿
キレイに見えているかは大事 だけど
誰が撮るかなんて あまり興味なさそう
あの子の写真もう1000枚くらい撮ったのに
私の写真 一枚も撮ってくれなかった
朝からずっと一緒にいたのにな
あの子絶対こっち見てる、だって。
ふぅん そうかな
こんなことに嫉妬するなんて
嫌な女かな バカみたいだな
#バカみたい
教室でぼんやり頬杖ついていると、
その子が近づいてきた。
…見て!と言って開いた手のひらに、
丸いドングリが乗っていた。
その前年の夏は海外で過ごしていた。
単位のひとつ、短期ステイに参加したのはクラスの10人ほどだった。
滞在の家は皆違ったけれど、参加する学習プログラムの場所が近い同士で、お昼休みなどに会って雑談していた。
自分とその子がそんな関係だった。
性格が正反対なその子とはそれまであまり交流したことがなかったのに、なぜだかとても打ち解けていろんなことを話して過ごした。
都会の片隅の小さな公園に観光客はおらず、外国語で話し続ける我々を時折ビジネスマンたちがめずらし気に見ていった。
真夏の緑が輝いていた。リスがたくさんいてドングリを齧る姿を眺めた。
寂しさは感じなかったけれど、異国の公園に二人ぼっちだった。
卒業が近づく頃には、クラスメイトとの交流もどんどん減った。
その子が話しかけてきたのも久しぶりだ。
…これ。思い出!
そう言って木の実をつまんで少し笑った。
私も少し笑った。
#二人ぼっち