春めく弥生の 帰りみち
霧に霞んだ 月あかり
潤う夜気に 清められ
仄かに香る 梅の花
#月夜
その日は満席の飛行機に乗っていた。荷物は身の回り品と小さな巾着がひとつ。巾着を開けると三日月の欠片が静かに光っていた。
実はほんの二週前にも空の旅をしていた。十年ぶりに姉に会いに行ったのだ。病床の彼女はすっかり痩せていたけれど、のんびりとした雰囲気そのままに自分を待っていてくれた。
姉も自分も年老いた。なんとそろって耳が遠いところまで姉妹で同じとは…仲が良いか考えたこともなかったが絆とはそんなものだろう。数日間の滞在中にだんだん元気になっていく姉としばし会話を楽しんだ。
またねと別れ十日を待たず姉は帰らぬ人となった。主を失った補聴器は形見の品として自分の手に残された。二人を繋いだ左右対称の小さな三日月…十日前には確かに片方ずつ使い、話が弾み笑い合っていたのだ…
もうすぐ羽田に着く。ふと、天国に近い空の上で耳に小さな欠片をあてがえば姉の声が蘇るような気がした。
…やめた。これからも続く静かな独りの時間のためにとっておこう。
#絆
そう遠くない過去のある時期、とあるSNSに私の居場所があった。いろんな理由で続けられなくなりスマホを換えたりもしたことで、見にいかなくなってどのくらい経つだろう。
いろんな意見あるけどSNSも社会のひとつだなと思う。合う人合わない人、良い人悪い人がいて当然。やはり合う人と出会えると嬉しい。
たまにはログインしてみようかな。
#たまには
ねえ
可愛いお花を見つけたの
いいでしょ キミにあげるよ
ねえ
綺麗な石を拾ったの
宝石みたい キミにあげるね
キミが大好きだから
欲しいもの なんだってあげる
だからお願い
もう一度帰ってきて
どうかわたしの側にいて
サヨナラなんて言わないで
#大好きな君に
あかりをともしていきましょう
えがおとしゅくふくをあびながら
おはなのかざりはみなさまに
うたげのあとにさしあげましょう
ひろうえん
おひなさまのような
きょうのあなたとわたし
ふたりならんですましがお
そんなこといわずたのしみましょう
きていただいたみなさまに
ありがとうをこめて
わたしたちのあしたに
かんぱいしましょう
#ひなまつり