僕アビーと茶々丸の2匹はイザベラさんの中庭にあるアトリエ小屋の上で、薄明かりの中、月の周りに浮かぶ虹の輪を眺めていた。
「お月さまの周りに輝く虹の輪、素敵だよね。月光輪て言うんだって。氷の霧と月の光で出来るんだ。茶々丸、あのお月さまは、オシャレをした君みたいだ」
「そう?僕が丸顔ってこと?それよりもお餅が食べたくなったな」
「ダメだよ。僕たち猫がお餅を食べるなんて、梨の食べすぎでお腹を壊すより大ごとになるさ」
茶々丸は声を出さずニャーと鳴いて、お餅を忘れることにしたようだった。
「光と霧の狭間で」
人は自分の身体の中に命の砂時計を持っていて、その砂は僕たちの誕生とともに優しく静かに落ちていく。
身体をよく動かしていると、砂時計がクルクルと上下に回り、砂は流れ続ける。
それはきっと、生命の流れを感じる血液の流れだ。
長寿の方々は運動好きが多いという。
僕たちの中の砂時計は、命の時間を音を立てずに見守ってくれているのかもしれない。
「砂時計の音」
「わたし、他に好きな人ができたの」と君は言った。君の目には涙が浮かんでいて、まるでそれは、僕を責める無言のメッセージかのようだ。
僕たちの物語は、もうとっくに終わっていたはずだよ。
その涙は、僕たちの歴史の透明な水なのかもしれない。
君を好きだった頃なら、君の涙の一滴一滴に、星々の永遠と刹那を感じていたさ。
今では、そんな幻想も色あせて、宇宙の物語すら消えてしまったみたいだ。
「消えた星図」
愛から恋を引いたら、何が現れるだろう?
それは、きっと寄り添いあった時の存在が現れるのさ。
ひとときの熱情や衝動が、時の流れの中で少しずつ熟成され、やがて深い愛へと形を変えるものだから。
お題
愛➖恋🟰?
変な等式…
僕の名はアビー。イケメンでエレガントなアビシリアン猫さ。仲間はジブリの世界でも貴族猫として登場している。
僕には近所に住む梨のような顔をした茶トラの友達がいる。彼はまん丸なお月さまのようなおとなしい子なんだ。だけど先日、梨を食べたせいでお腹を壊してしまったらしい。
猫たちよ、梨を食べすぎるのは危険だ。思わぬ無邪気さが、僕たちをあっという間に獣医さん通いにさせるからね。
「梨」