記憶の海は、日差しを受けキラキラしている。その表面には、波に乗った軽やかな思い出たちが浮かんでいる。だけど、その深淵には重たく静かな記憶がひっそりと沈んでいるんだ。
この海の中をゆったりと泳ぐタツノオトシゴは、大切な感情や思い出の象徴だ。
彼が元気に泳ぎ回れば、記憶は楽しげに輝いている。でもある時、彼に影がさすと、海の比重が歪んでくる。ポコポコと泡が立ち、海全体が濁り始めるんだ。
でもそれは、何かを問いかけている。きっと意味がある。
タツノオトシゴのご機嫌を気にするのも必要かもね。
お題「記憶の海」
永遠の鳥はアビーに向かってある少女について話し出した。
「彼女はみんなに愛され大切にされて、いつもにこやかな女の子だった。そんな彼女が、君に恋をしたんだよね。天使である君は、それはもう美しい光を放っていて、彼女は君のことを特別に思ってしまった。
彼女の願いは、一度でいいから君だけに愛されたいということだった。でも、アビー、君はたくさんの人に愛を注がなければならない天使の立場なんだ。だから、彼女の想いは叶わなかった。
それ以来、彼女は自分を愛することも辞めてしまって、笑顔を失ってしまった。天使の君でも、そんな過ちがあるんだね。
そして、そのことを悔いて、君は神様の赦しを得て、今は猫の姿で人々の想いをゴンドラで運んでいるんだよね」
お題「ただ君だけ」
港に"未来への船"が停まっている。遠く沖の方には、永遠の鳥が羽ばたいるのが見えた。
笑みを浮かべた男が船のチケットを配っていて、僕はそれを受け取り意気揚々と船に乗り込んだ。
どんな素晴らしい未来に連れて行ってくれるのだろう。さぁ、出発だ。
船は高速エンジンで海を滑り、永遠の鳥の真下まで波の上を走った。そこには渦が出来ており、ここから未来へと進んでいった。
そして、僕は自分の平凡な未来を見た。それから友人や知人、日本、世界、地球、宇宙の未来も見た。全てが早送りのように未来に進み過ぎ去る。
さらに超未来へ進むと、一気に時は過去へ向かった。すごいスピードで僕の時代をも通り越してずっと昔まで遡っている。
このままでは、と考えると僕は怖くなって気を失ってしまった。
目が覚めた時、僕は港に放り出されていた。船酔いの感覚だけが残り、しばらく呆然と寝転がっていた。
お題「未来への船」
心の奥深くには、静かに広がる森のような神秘の場所があるんだ。
僕たちの脳細胞は、日常的に使われているのはほんの10%だと言う。
その残りの90%は、静かな森の中で眠り続けているのさ。
世に名を馳せた天才たちは、しばしばこの森を訪れ、そこで思索を巡らせる。
そして、彼らはそこから芸術のひらめきや学問の進展、政治的な決断を引き出してきたんだ。
だけど、この幻想的な世界に浸りすぎてはいけない。
ニーチェみたいに、万能感に囚われ、奇声を上げて裸のまま街を駆け抜けてしまうこともあるからね。
もし、僕がこの森に行けたとしても、森の入口付近でのんびりとお昼寝するくらいがちょうどいい。
「静かなる森へ」
☆脳は実際には100%使われているそうです
「ねぇ、君は夢って何かある?」
「うーん夢か、考えたことはあまりないな。毎日同じことに埋もれてる現実だからさ、夢なんてどこか遠い場所にあるように思えるんだ」
「確かにね、でも実は、現実というのは夢にたどり着くためのひとつのルートなんだと思うんだ。だから、夢と楽しい現実を出会わせてみるのはどうだろう?」
「ふーん、現実の中に少しの楽しみを見つけられれば、夢を見つける近道になるかもしれないな」
「結局は、毎日が大切ってわけだよ。だから面白いと思う遊びも忘れないようにしようぜ」
「面白いことから夢が見つかれば言うことないよ」
「夢を描け」