港に"未来への船"が停まっている。遠く沖の方には、永遠の鳥が羽ばたいるのが見えた。
笑みを浮かべた男が船のチケットを配っていて、僕はそれを受け取り意気揚々と船に乗り込んだ。
どんな素晴らしい未来に連れて行ってくれるのだろう。さぁ、出発だ。
船は高速エンジンで海を滑り、永遠の鳥の真下まで波の上を走った。そこには渦が出来ており、ここから未来へと進んでいった。
そして、僕は自分の平凡な未来を見た。それから友人や知人、日本、世界、地球、宇宙の未来も見た。全てが早送りのように未来に進み過ぎ去る。
さらに超未来へ進むと、一気に時は過去へ向かった。すごいスピードで僕の時代をも通り越してずっと昔まで遡っている。
このままでは、と考えると僕は怖くなって気を失ってしまった。
目が覚めた時、僕は港に放り出されていた。船酔いの感覚だけが残り、しばらく呆然と寝転がっていた。
お題「未来への船」
5/11/2025, 11:39:55 PM