récit

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7/23/2024, 12:06:06 PM

イケメン猫の僕と暮らすイザベラさんの中庭で、この夏も美しく花咲いた桃色オレンジのノウゼンカズラ。
イザベラさんが丹精込めて育てたんだ。

お庭のお手入れを時々お願いしている園芸家の中野源州さんが、いくつかのプランターに植えてリビングの南側デッキに並べてくれている。

午後に陽がさすと部屋からのぞく花びらが発光するように透けて、とても華やかな空間が広がる。

イザベラさんは、その可愛らしく咲き誇るノウゼンカズラを見ると幸せに満たされる。

花言葉は「溢れる愛」。

イザベラさんはその言葉のように、大切な家族にたっぷりの愛を注いでいる。

「花咲いて」

7/22/2024, 12:33:45 PM

理沙ちゃんのパパは、未来への創造的思考と過去からの戦略的思考をもとに、企業の未来を構想するプロジェクトに取り組んでいるんだ。

これは「働き方の未来」をテーマにしたタイムマシンブランディングというもの。

データを活用して過去や未来をデジタル的に計測し、将来の企業設計を作成するらしいんだよね。

でも、もしもタイムマシンがあったなら、デジタル計測なんてややこしいことをしなくて楽チンなのにね。

「もしもタイムマシンがあったなら」

7/22/2024, 12:32:16 AM

むかしむかし、ゾワメムというとても尊大な魔女がいました。
ある暑い夏の日、ゾワメムは「冷やし中華を食いたい」と思い立ち、中華麺を買うために夕方のスーパーへとやってきました。

ゾワメムは
「冷蔵庫にはきゅうりとハム、卵があるから、トッピングにはトマトがあと1個さえあれば十分じゃ。わしは料理が得意だから、大丈夫じゃろう」
と自信満々でした。

野菜コーナーに着くと、なんとトマトは残り2個になっていました。
そして、やはり同じスーパーで買い物をしていた白い魔法使いがその1個を手に取ろうとしていました。

その瞬間、ゾワメムは素早くダッシュして、2個のトマトを自分の買い物かごに入れてしまったのです。

白い魔法使いはトマトがなくなり残念な顔をしましたが、めっちゃ意地悪なゾワメムは「今、いちばん欲しいのはこの余分なトマトだわい」と、大満足しましたとさ。


「今一番欲しいもの」

7/21/2024, 1:03:25 AM

私の名前を呼ぶ者は、誰かここにいるかー?
私は古の偉大なるファラオだ。
誰かが私の名前を呼んでくれれば、蘇って再びこの地を統治できるだろう。
しかし、現代の個人情報保護コンプライアンスが行き過ぎたせいで、世界遺産保護協会が私が眠る箱から名札を外してしまった。
その結果、誰も私の名前を呼んでくれる者がいなくなってしまった。

「私の名前」

7/17/2024, 2:17:15 PM

遠い日の記憶は紗をかけられて美しく浮かぶ。

思い出の石は静かな河の中で流され、砂となり、砂は思い描きたい城を形作る。

それは幻影のようでもあるが、確実に過ぎ去った物語であり、時の流れに刻まれる詩なのだ。

「遠い日の記憶」

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