蝶よ花よと、育てられ。
きっと、ご両親から大切にされたお嬢さんはスレンダーで綺麗な娘が多い。
僕も若い頃は、見た目が華やかなで、顔立ちの美しい女性に惹かれていた。
でもその場合、僕の見た目も厳しく見られていて、かなり気を使ってしまい段々と疲れていった。
そして、あまり気を使わない、自然体でいられる女性に惹かれるようになっていった。
僕の気になるあの娘は
たぶん、派手な服装ではなく蝶ではないかもしれない。
たぶん、目立つような顔立ちの花ではないかもしれない。
随分と失礼な言い方になったね。
でも僕には、蝶よりも綺麗で、花よりも美しく見える。
蝶よ花よ、僕の大切な君よ。
君の心は誰よりも澄んでいて、世界一美しい。
随分と悩んでいるみたいだね。
君を見ていると清らかで、真っ白で、純粋過ぎて心配になる。
君は汚いものを知らなさ過ぎる。
人を簡単に信じてはいけないし、
人は簡単に嘘をつくって事を知らないといけない。
君は人の痛みに敏感で、すべてを当事者として受け取ってしまう、それは考えものだ。
君の力ではどうしようもない事が、世の中には沢山あるよ。
戦争もその一つだ、分かるかい?
君がこの平和な時代に生まれ、平穏に暮らしているのに、何ら罪はない。
もっと、楽に生きていいんだよ。
そりゃ、食べ物を残したり、物を簡単に捨てたりするのはよくない。
だけどね、美味しい物を食べたり、おしゃれしたり、友だちと笑い合うのは君の生きる権利でもあるんだよ。
それを罪として捉えない。
いいかい、戦争で苦しい思いをした先人たちはこの平和な世の中を喜んでいるよ。
羨ましがって、当たり前にある君たちを恨んだりしない。
君のおじいさん、おばあさんは君が幸せで怒ったりするだろうか、恨んだりするだろうか。
しないよね。
君がこの平和な時代に生きて、自分の好きな事をしている事にとても喜びを感じているはずだ。
君が幸せで心底喜んでいるはずさ。
僕も君には笑っていてほしいよ。
同じ事をあの人にも言われたんだろ?
あの人は君に笑えって、言ったんだろ?
僕も君には笑ってほしいと願うよ。
君の笑顔は、周りを幸せにする。
僕は君が生きているだけで、僕の生きる希望になってる。
いいかい、君が幸せになる事は
最初から決まっていた事なんだよ。
「明日、春が来たら君に会いに行こう」そんな歌があった。
その歌を聴くたびに思っていたよ。
春が来ても、
夏が来ても、
秋が来ても、
冬が来ても、
どんな理由でも君に会いに行きたいと。
理由を自由に選べていた頃が懐かしい。
今、どんな理由があっても、
君に会う事は許されない。
君はどんな人間になりたいのか、
どんな風に生きたいのか、
それから、誰と生きたいのか。
答えのない問いを延々と問い続け、考え続ける。
何に喜び、何に悲しみ、
これからどう生きてゆくのか。
君も観たようだね、宮崎駿の映画を。
いいかい、飽きるまで考えるんだ、それが生きる事だ。
「コクリコ坂から」という映画を観たことがあるかな。
僕はスタジオジブリの作品が好きでね、この映画はかなり上位に入る好きな作品だ。
とても古臭いが、懐かしい感じもする青春映画だ。
その中で出てくる詩がある、好きなので記しておく。
少女よ君は旗をあげる
なぜ
朝風に想いをたくして
よびかける彼方
気まぐれなカラスたちを相手に
少女よ今日も紅と白の
紺に囲まれた色の
旗は翻る
―風―
こんな風に愛を語りたい。