朝起きたときに外が晴れててぬくぬく二度寝をするのと雨が降っていて心地よい音を聴きながらうとうと二度寝をするのはどっちが気持ちいいんだろうな。
「嘘つきはよくないよね。」
「そうだね、嘘付かれた方は傷つくよね」
「でもさ。正直者も良くはないと僕は思うんだよ。」
「どうして?」
「正直なことが良いこととは限らないから。例えばデートの終わりに「今日は時間の無駄だった。
一緒にいても楽しくないしもう帰りたい。」って言う正直者どう思う?」
「うわ、ひっどい………」
「でしょ?じゃあこれは?「ここのクッキー美味しかったな。お土産買って帰るときに渡そう。」からのちょっとお手洗い行ってくるねっていう嘘。」
「それは優しいなと思う」
「でしょ?つまりひとえにその言葉だけじゃ良いも悪いも区別が付かないんだよ」
「じゃあ正直者と嘘つき者という言葉はどちらも褒めてもないし貶してもないってことになるね」
「そゆこと。どちらになってもいい、意味は自分で作っていくみたいなね。」
「ふーん………じゃあ私もトイレ行ってお土産買ってもう帰ろっと」
「わぁありがと。僕はタルトがいいなぁ」
「クッキーしか買いませーん」
「とかいって??優しい嘘つきさんめ★」
「いや事実しか述べてないです。」
それでホントにクッキーしか買わないんだぼくの彼女は。
「正直」
ほの暗い窓の外ではいつもより緑が濃い草たちが
雨粒を全身で受け止めいた。
雨で思い出すことはひとつだけ。
三人で遊んだ帰り、私と彼女たちで別れて帰ったあの日。
私の乗るバス停前で別れ、二人の後ろ姿を目で追う。一つのビニール傘を二人で分け合いきっと今日の思い出話に花を咲かせているだろう楽しげな雰囲気に私はこのときばかりはビニール傘を呪った。
見たくないものをあの傘は隠してくれない。
一緒に行った店の袋がずしんと重さを増す。あの二人の手で楽しげに揺れる袋と大違いだ。
何て酷い気分なのだろう。つい数分前までは何もかもが楽しくて雨さえもキラキラしていたのに。
あの子が私以外の子と楽しそうにしているだけなのに。 ―――
いつ思い出しても惨めな気持ちになる。
あのときの私の足元に生えていた草と窓の外の草は同じ色をしていて、いまでも私を苦しめる。
ほんの些細なことがいつまでもいつでも心の中にじっとりへばり付いてしまって今でもこの季節が苦手だ。
「梅雨」
産まれ、進み、時々詰まったり
外へ流れていくこともあるが
前へ前へ進むしかないのです。
なんの話かって?
血液の話です。
「終わりなき旅」