古びた手記の一部から抜粋。

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「嘘つきはよくないよね。」
「そうだね、嘘付かれた方は傷つくよね」
「でもさ。正直者も良くはないと僕は思うんだよ。」
「どうして?」
「正直なことが良いこととは限らないから。例えばデートの終わりに「今日は時間の無駄だった。
一緒にいても楽しくないしもう帰りたい。」って言う正直者どう思う?」
「うわ、ひっどい………」
「でしょ?じゃあこれは?「ここのクッキー美味しかったな。お土産買って帰るときに渡そう。」からのちょっとお手洗い行ってくるねっていう嘘。」
「それは優しいなと思う」
「でしょ?つまりひとえにその言葉だけじゃ良いも悪いも区別が付かないんだよ」
「じゃあ正直者と嘘つき者という言葉はどちらも褒めてもないし貶してもないってことになるね」
「そゆこと。どちらになってもいい、意味は自分で作っていくみたいなね。」





「ふーん………じゃあ私もトイレ行ってお土産買ってもう帰ろっと」
「わぁありがと。僕はタルトがいいなぁ」
「クッキーしか買いませーん」
「とかいって??優しい嘘つきさんめ★」
「いや事実しか述べてないです。」



それでホントにクッキーしか買わないんだぼくの彼女は。






「正直」












6/3/2024, 10:21:03 AM