ほの暗い窓の外ではいつもより緑が濃い草たちが
雨粒を全身で受け止めいた。
雨で思い出すことはひとつだけ。
三人で遊んだ帰り、私と彼女たちで別れて帰ったあの日。
私の乗るバス停前で別れ、二人の後ろ姿を目で追う。一つのビニール傘を二人で分け合いきっと今日の思い出話に花を咲かせているだろう楽しげな雰囲気に私はこのときばかりはビニール傘を呪った。
見たくないものをあの傘は隠してくれない。
一緒に行った店の袋がずしんと重さを増す。あの二人の手で楽しげに揺れる袋と大違いだ。
何て酷い気分なのだろう。つい数分前までは何もかもが楽しくて雨さえもキラキラしていたのに。
あの子が私以外の子と楽しそうにしているだけなのに。 ―――
いつ思い出しても惨めな気持ちになる。
あのときの私の足元に生えていた草と窓の外の草は同じ色をしていて、いまでも私を苦しめる。
ほんの些細なことがいつまでもいつでも心の中にじっとりへばり付いてしまって今でもこの季節が苦手だ。
「梅雨」
産まれ、進み、時々詰まったり
外へ流れていくこともあるが
前へ前へ進むしかないのです。
なんの話かって?
血液の話です。
「終わりなき旅」
嫌なものを見た。
目を逸らしたいのに逸らせなくて
考えたくないのに考えてしまう。
こんなのあんまりじゃないか。
じわりじわりと視界が歪んでいくのを
私は必死に我慢したけれどそれでも
あふれでていくそれはどうしようもなく。
なんとか抗おうとぬぐってみたが
吸い込んでくれる袖はなく
ただただ濡れていくだけの腕は
なんの助けにもならなかった。
「半袖」
天国はあなたを忘れられないこと。
地獄はあなたを思い出すこと。
たばこの匂いはあなたがいつも纏っていたもので
たばこの匂いが混ざった私の髪は「私はあなたのもの」という証だった。あの煙が私の拠り所だったの。
でもね、思い出すの。
あなたの部屋の灰皿には口紅のついた吸い殻があって、ベッドの脇のゴミ箱には私の知らない空箱が捨てられていて
私の知らない誰かと私の知らないあなたの姿がいつまでもいつまでも頭のなかにこびりついて
あなたを忘れられない私は思い出に浸るたび
知らない誰かもずっと思い出している。
「天国と地獄」