空に溶ける
画面いっぱいに広がる青色
綺麗だ…と画像を眺めていると本文が目に入った
#ネモフィラ #空 #空に溶けるネモフィラと書かれていた
「見てみたいなぁ…」
「何を?」
「え?」
心の中で呟いたつもりが声に出していたらしいくて、隣にいた彼が不思議そうな顔で私を見ていた
彼にスマホの画面を見せながらここに行きたいと伝えると「じゃあ、明日行こ!」と言ってくれた
こうして見たいと思っていた空に溶けるネモフィラが見れる事になった
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Sunrise
丘の上に経つ立派な一軒家
この家は祖父母から譲り受けた財産であり、趣味部屋ならぬ趣味家だ
ふと目が覚めてしまい、ベッド側の窓のカーテンを開けると夜明けまでそれほど時間もかからないぐらいだとわかった
そのまま窓を開け、ぼーと空を見つめる
段々と空が明るくなり、太陽がゆっくりと顔を見せてくれる
完全に太陽が顔を出して、1日が始まる
んー、と声を出しながら伸びをしてからベッドから降りる
まって
「待って!」
手を一生懸命に伸ばすが無惨にドアが閉まる
「どうして!?」
赤子のように泣く自分の声だけが部屋に無常に響く
まだ知らない世界
「バッサリ切ってください」
「よろしいんですか?」
困惑したような美容師さんに笑顔を見せる
「はい!
バッサリいっちゃってください!」
「わかりました」
私の変わらない返答に笑顔を返してくれた美容師さん
腰まである髪が美容師さんの手で鎖骨ほどの長さで切りそろえりていく
「いかがですか?」
美容師さんが見せてくれた三面鏡には首が隠れる程の長さの後頭部が写されていた
「ありがとうございます」
感謝を伝え、会計を済ませる
「ありがとうございました」
店先で見送ってくれる美容師さんに会釈を返す
(なんだか勇気が湧いてくるな)
この勇気が萎まないうちにまだ知らない世界へ飛び込む
未来への船
今まで舵を取ってくれていた両親から引き継ぎ、自分の手で舵を取る
初めての舵取りにドキドキする
これからどんな事があるかわからない
荒波に襲われるかもしれない
強風に吹かれるかもしれない
でも、どんな事があっても握った舵は離さないと決めている
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ただ君だけ
「君だけだよ」
彼氏にそう言われるのが嬉しかった
誰にでも言っている言葉だとわかっていても…
「ねぇ、それって本当に幸せ?」
行きつけのお店で知り合った飲み友の春木くんに聞かれて何も言えなかった
だって、幸せかなんてわからないから
「こんな時に伝えることじゃないのは解ってて言わせて」
そこで言葉を区切った春木くんはゆっくりと私の手に自分の手を重ね、真剣な眼差しで見つめてくる
「薄っぺらい言葉で貴女を縛る男が許せない
そんな男は捨てて、俺に乗り換えて」
言葉はチャラいが彼の私を想う気持ちが伝わる
彼はパッと手を離すと飲みかけのお酒に口を付けた
「俺はただ君だけを想うよ 」
伏し目がちに呟かれた言葉
それが彼氏に言われるほど嬉しかった
(あぁ、私は彼に落ちていたんだ)
そう実感した時だった
静かなる森へ
自宅からバスで40分ほど行った先に散策が楽しめる森がある
ある程度 整備された散策ルートを歩き続けた先に見晴らしのいい場所に着く
そこはレジャーシートや備え付けのテーブルと椅子に座ってお弁当を食べる人達が沢山いる
その場から少し離れると木々の間から木漏れ日が差し込む場所が見える敷き、持ってきたおにぎりと水筒を出してゆっくり楽しむ
「はぁ、癒される…」
静かな森でのんびり心を癒し、また仕事を頑張ろうと心に決める