未来への船
今まで舵を取ってくれていた両親から引き継ぎ、自分の手で舵を取る
初めての舵取りにドキドキする
これからどんな事があるかわからない
荒波に襲われるかもしれない
強風に吹かれるかもしれない
でも、どんな事があっても握った舵は離さないと決めている
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ただ君だけ
「君だけだよ」
彼氏にそう言われるのが嬉しかった
誰にでも言っている言葉だとわかっていても…
「ねぇ、それって本当に幸せ?」
行きつけのお店で知り合った飲み友の春木くんに聞かれて何も言えなかった
だって、幸せかなんてわからないから
「こんな時に伝えることじゃないのは解ってて言わせて」
そこで言葉を区切った春木くんはゆっくりと私の手に自分の手を重ね、真剣な眼差しで見つめてくる
「薄っぺらい言葉で貴女を縛る男が許せない
そんな男は捨てて、俺に乗り換えて」
言葉はチャラいが彼の私を想う気持ちが伝わる
彼はパッと手を離すと飲みかけのお酒に口を付けた
「俺はただ君だけを想うよ 」
伏し目がちに呟かれた言葉
それが彼氏に言われるほど嬉しかった
(あぁ、私は彼に落ちていたんだ)
そう実感した時だった
5/13/2025, 10:00:33 AM