クリスマスの過ごし方
去年まではクリスマスは社畜として残業に励んでいたクリスマス
今年は早々に仕事を終わらせ、定時で上がる
「お疲れ様」
「主任、もう帰るんすか!!」
部下にそんな事を言われる
「あぁ、今年は待ち人がいるんでね」
『裏切り者ー!!』
部下達の叫び声を背中に「無理だけはするなよー」と言葉を残して部署を後にする
さっさと帰宅すると「おかえりなさい」と笑顔で迎えてくれる愛しい人
「ただいま」
優しく彼女を抱き締め、首筋にキスをする
ビクッと身体が跳ね、真っ赤な顔で睨んでくる
怒った顔も可愛くて仕方がない
今年は愛しい彼女と過ごすクリスマスは幸せでしかない
ーーー
変わらないものはない
君を想う気持ちは一生 変わらない
そうプロポーズしてくれた彼
今や別の想い人がいる
「一生なんて嘘じゃない」
興信所からの調査結果を聞いて呟く
「変わらないものはないですからね」
担当してくれている人の言葉に「そうですね」と返す
帰りたくもないが帰るしかない
情景も情勢も流行も何もかも変わらないものはない
それでも相手を想う気持ちだけは変わらないで欲しいと願ってしまう
ベルの音
リンリンリン
ベルの音が聞こえると思わず窓の外を見ちゃう
だって、サンタクロースがトナカイに乗って来る音だから
「碧(あお)、まだ昼間だからサンタさんは来ないわよ」
ママはくすくす笑いながらそう言うが、そんなのは信じられない
だって、全世界の子供達に1人でプレゼントを配っているんだもん
ピンポーン!
インターフォンが鳴り、ママがモニターのボタンを押すと「宅配です」と言う若い男性の声が聞こえた
(サンタさん、いつ来るんだろ…)
窓から空を見上げてそんな事を思っていると、玄関からママが僕を呼ぶ声が聞こえた
なんだろうと玄関に向かうとそこにはダンボール箱を持ったサンタクロースがいた
「サンタさんだ!!」
「Merry Christmas!
1年、いい子にしていた碧くんにサンタからのプレゼントだよ」
ニコッと笑ったサンタさんは持っていたダンボール箱を僕にくれた
「サンタさん、ありがとー!!」
僕は嬉しくてしかたなかった
冬は一緒に とりとめもない話
冬は炬燵に入りながらみかんを食べるのが好き
さらに彼もそこにいてくれるのがもっと好き
「今日は仕事でね」
みかんを食べながらとりとめもない話をする
それが私の癒しの時間
心と心
心と心が繋がる瞬間があるとよく言うけど、その瞬間ってどんな時なんだろう?
そもそも心って概念で繋がるってなんだろう?
そんな取り留めもないことを考える午前2時
今夜もきっと眠れずに朝を迎えそうだ
何でもないフリ
急な目眩に壁に寄りかかり、目を瞑る
「まただ…」
ここ3ヶ月ほど急な目眩と耳鳴りに悩まされていた
仕事の繁忙期で休んでる暇なんてないから受診せずに放置していた
「主任、大丈夫ですか?」
「大丈夫、何でもない」
部下から心配そうに声をかけられ、笑顔で返す
「そうですか?」とまだ心配顔の部下に「ありがとう」と伝え、一緒に部署まで歩く
繁忙期さえ終われば、よく寝れば、なんて楽観視していた当時を悔やむが後の祭りである
「部下の為でも何でもないフリはするべきじゃないわね」
病院のベッドの上でそんな事を呟く