「久しぶり。」
「おう、久しぶり……。」
「元気にしてた?自転車には、まだ乗ってたんだね。」
「……。」
「みんな、元気?」
「元気だよ。」
言葉が続かない。窓の外では、春の柔らかい雨が降っている。
「不思議だね。去年の今ごろは、あんなに一緒にいたのに。」
「そうだな。」
去年の今頃は、2人でお金集めに必死だった。そのおかげで、神社は新しくなった。なのに、俺はなんで、こんなに虚しいんだろう?
「もう、こっちには来ないのか?」
「こっちって……。四国?」
「ああ。みんな、寂しがってるよ。」
「みんな、私のことなんて忘れてるよ!」
瑠奈は自嘲ぎみに笑った。
「……忘れるかよ!」
「!?」
「みんな、お前がいるから、信じたんだよ!お前がいるから、ひとつになれたんだ!」
「真斗……。そんなこと、ないよ。みんな、真斗がいたから、ついていったんだと思う。あなたが、一生懸命だったから。」
「ダメなんだ……。」
「え?」
「俺は、お前がいないとダメなんだ!」
【柔らかい雨】
そのとき、暗闇の中に一筋の光が差した。
「誰かいるのか!!」
タカオの力強い声が聞こえる。
「ここだ!ここにいるぞ!!」
真斗は、声を振り絞って、力の限り叫んだ。
「おう……う……。」
郁弥も、言葉にならないうめき声を発している。
「郁弥、お前も分かるのか?助けが来たんだ!」
【一筋の光】
森の中に入ると、樹々の間から、太陽のやわらかな光が差し込んでくる。足元はぬかるんでいるが、心地よい温もりを肌に感じながら、私は歩いた。
湖畔は、一周すると20kmにもなるそうだ。ひとまず目的の岬を目指して、歩みを早めた。お昼までには、対岸に渡るつもりだ。
【やわらかな光】
「あ、ごめん…。」
俺は慌てて、ドアを閉めた。涙の理由は聞かなかった。
彼女が乗り越えてきた、さまざまな苦難を、いつか教えてもらえたら、と思った。
【涙の理由】
「へえ、クラウドファンディングかあ!それってちょっと、ココロオドル出来事だよね!」
紗栄子は、冗談めかして言った。
「だろう?」
「で、返礼品は、どうするの?」
「返礼品?」
「寄付のお礼よ。クラウドファンディングをするなら、返礼品も何種類か、用意しなきゃ。」
思わぬ姉のアドバイスに、真斗は顎に手をやって、唸り始めた。具体的なことは、まだ何も考えていなかったからだ。
【ココロオドル】