「久しぶり。」
「おう、久しぶり……。」
「元気にしてた?自転車には、まだ乗ってたんだね。」
「……。」
「みんな、元気?」
「元気だよ。」
言葉が続かない。窓の外では、春の柔らかい雨が降っている。
「不思議だね。去年の今ごろは、あんなに一緒にいたのに。」
「そうだな。」
去年の今頃は、2人でお金集めに必死だった。そのおかげで、神社は新しくなった。なのに、俺はなんで、こんなに虚しいんだろう?
「もう、こっちには来ないのか?」
「こっちって……。四国?」
「ああ。みんな、寂しがってるよ。」
「みんな、私のことなんて忘れてるよ!」
瑠奈は自嘲ぎみに笑った。
「……忘れるかよ!」
「!?」
「みんな、お前がいるから、信じたんだよ!お前がいるから、ひとつになれたんだ!」
「真斗……。そんなこと、ないよ。みんな、真斗がいたから、ついていったんだと思う。あなたが、一生懸命だったから。」
「ダメなんだ……。」
「え?」
「俺は、お前がいないとダメなんだ!」
【柔らかい雨】
11/6/2023, 10:13:27 AM