いま、貴方はなにをしていますか。まだ、自身の大志のために足掻いているのでしょうか。それとも、遠いあの場所にお隠れになっているのですか。
まだ、帰ってはきませんか。
『また、貴女の傍に、かならず』
そう言い残してどこかへ行ってしまった貴方は、まだ、私の傍に帰ってはこないのですか。
でも、それでもいいのです。
貴方が幸せなら、それでいいのです。
今日は貴女が行ってしまったあの日と同じように、いやにゆっくりと、街が白銀に染まっています。
貴方のいる場所はどうでしょうか。
もしかしたら、私が今見ている景色と同じように、白く染まった場所にいるのかもしれませんね。
貴方がもし、帰ってこなかったら。
貴方が、ずっと遠くに隠れてしまっていたら。
そうしたら、私が貴方を見つけに行きます。
どれだけの時がかかっても、かならず貴方を見つけて、一緒に雪見酒でもしましょう。
あの言葉を、嘘にはしないでくださいね。
どこかで鐘が鳴った。
きっと私にも、貴方にも関係の無い、遠くの地で。
貴方はずっと優しかった。
重い物は持ってくれたし、何かあればすぐに駆けつけて私を守ってくれた。ついでに、所作も完璧だった。
だから、私が貴方に恋するのは必然で、その優しさを私だけに向けて欲しいと思うのも必然だったのだなと思う。
でも私は、私の幸せよりも貴方が幸せになる方がずっと大切だった。
憎しみだけを糧に、自身の幸せなんて願わずに生きてきた貴方に、幸せになって欲しかった。
本当は性格が良いとは到底言えないような貴方の誰にでも振りまく優しさも、所作も、全てが愛しかった。
きっと貴方の優しさも所作も、その性格の悪さも、貴方が生きていくために必要だったものだと思うから。
私は、貴方そのものが好きだから。
『また、君を見つけるよ。どれだけの時がかかっても、必ず、ね』
いつしか貴方はどこか遠くの地へ行ってしまった。私を別れの言葉のついでに、呪ったまま。