一年後……私はどうなっているのだろう。
一年後といえば、そろそろ進路について真剣に考えないといけない時期になる。本当にその道を選ぶのか、自分の意志で決めなくてはならない。
というか、それ以前にコロナ禍はどうなるのか。そう簡単に収まるものではないと思うが、ある程度目処はついてほしい。
改めて考えると、一年後というのは何とも先行き不透明である。それでも命ある限り生きていかなければならないのかと思う今日この頃。
初恋の日が私に来るのは何時になるのだろう。
無邪気に幼稚園時代を初恋の日だと言っていた時期もあったけど、その過去も今では遠い夢の中。
いつの間にか、私には“恋愛感情”というものが分からなくなっていた。――否、元から分かっていないのかも知れない。分からないが故に、自分は恋してるんだと思い込もうとした時さえあった。恋愛に関する文献を渉猟してみたこともあった。でも、描かれる虚構の恋愛にはどうしても感情移入出来なくて。
そんな時、“無性愛者”という言葉を知った。私がそうなのかは未だに不明だが、それよりも恋愛感情が無い人の存在に微かな共感を覚えた。勿論、世間には自分の意志で恋愛しない人だって居る。そういう人達も含めると、恋って意外としなくても平気かもな、なんて考える。
初恋の日が来なくても構わない人ってやっぱり居るんだな、と思ってしまう今日この頃。
明日世界がなくなるとしたら、私は何を願うだろう?
そんなこと、その時になってみなければ分からないような気がする。
現世に大した未練も執着も無い私だが、存外惨めったらしく足掻くかも知れない。或いは全てを諦めて、終焉が始まる前に自害するかも知れない。世界の終わりがどんなものかも分からない以上、何をするかはその時の私が考えるしか無いわけで。
だけどこのご時世、本当にそんな日が近いかも知れないなんて嫌な想像が脳裏を過ぎる今日この頃。
君と出逢ってから、私の人生に色味が増した気がするのは私だけかな。
会話する度に楽しくて。同じ趣味を共有できたかと思えば私の知らないことを教えてくれて。君との時間は本当に楽しかったよ。
過去形なのがちょっと寂しい気持ちもあるよ。クラスは違うし、受験以来少し疎遠になってたもんね。それでも、久しぶりに君と話した時間はやっぱり居心地が良かった。
恋人になりたいなんて言わない。私は恋を知らないし、君に抱く感情は友愛だと思うから。君に恋人が出来ても気にしない。しばらく茶化すかも知れないけどね。
……だからさ。たまには昔みたいに話そうよ。私の知らないこと、もっと知りたいから。
鼻孔をくすぐる草いきれの匂い。薫風に黒髪を靡かせ、貴女は優しく微笑んで言った。
「―――」
ねぇ、あの時貴方はなんて言ったの?
そう問うことはもう出来ないまま、今日という日は過ぎてゆく。