こぼれたアイスクリーム
茹だるように暑い夏の日。
アスファルトに白い塊が落ちているのを見た。
近づいてみれば、それはアイスクリームだった。
盛り付けられた時には丸い形であったであろうそのアイスクリームは半分以上溶けて地面に広がっていた。
これを落とした人はどうしたのだろう。
カップに盛られたタイプなら一玉丸ごと落とすことはあるまい。
おそらく、コーンタイプだろう。
のこされたコーンだけをかじって帰ったのかもしれない。
そんな場面に立ち会ったら笑ってしまうかもしれないな。
我ながら性格がわるい。
よく見ると、アイスクリームに蟻がたかっている。
子どもの頃からなんか見てしまう。
この暑い日に蟻にとってはご馳走だろうな。
こぼした人にとっては悪い出来事でも蟻にとっては良い出来事になるという訳だ。
まあ、私はどちらにも関係がない訳だが。
アイスひとつでそんな疎外感を感じつつ、蟻を踏まないようにして家に帰る。
そういえば冷蔵庫にアイスがあったな。
帰ったあとの至福の時間を想像しながら歩いていると空のコーンとティッシュ箱を持った人とすれ違った。
コーンは置いてくれば良かったのでは、と思ったが声をかけることはせずそのまま帰路に着いた。
やさしさなんて
やさしさなんていらないわと
半分にして飲んだバファリン
風を感じて
窓を開けた。
風を感じた。
夏の匂いの正体を知りたいと思った。
夢じゃない
私は人並み以上に運動ができた。
これならオリンピックも夢じゃない。
そんなことを言われて私はより一層努力した。
またダメだった。
オリンピックへの道は険しい。
だが、着実に近づけているように思う。
オリンピックは夢じゃない、目標に変わっていった。
交通事故にあった。
半身が麻痺し、日常生活にも助けが必要だ。
運動しかしてこなかった私には、他の道は無いように思えた。
だがこれは起きたらなかったことになる夢じゃない。
前を向いて生きていくしかない。
まずは自分に出来ることを探そう、そう思った。
心の羅針盤
僕の感情はゆらゆら揺れる。
お前だけが僕の心の羅針盤。