行かないでと、願ったのに
願いは叶わなかったんだ
願っただけだったからかな
動けば変わったのかな
行かないでと、言葉を発せば
行かないでと、願うだけではだめだった
〇 秘密の標本 〇
彼は標本が好きだった
植物、虫、生物が好きなわけではなかった
ただただ、標本が好きだった
ある日、彼は「標本見る?」と聞いてきた
彼の部屋には標本が沢山あった
ホルマリン漬けだって沢山あった
その奥に大きな物があった
それに彼の手がかかった
人間の標本だった
美しいと思ったと同時におかしいと気づいた
笑顔な彼は「綺麗な子だったから」と話した
女の標本が綺麗にみえた
彼の笑顔は綺麗だった
「君は否定しないよね?」悲しそうに話した
しないよ絶対にしないそう誓った
けれど、一つ許せなかった
『 私を標本にして 』
咄嗟に声が出た
彼の口角はさらに上がった
私は一つの標本になった
彼の彼だけの標本になった
彼は標本が好きだった
植物、虫、生物が好きなわけではなかった
ただただ、標本を作るのが好きだった
私は彼に好いてもらいたかった
彼の秘密の標本になったとしても
凍える朝
今朝、布団から出られなかった
震えて、ふるえて手を出すのすら
頭が体が拒否をした、ほぼ反射だった
確か昨日は布団を剥いで寝ていたのに
もう、今日はこんなに寒い
行き場のない怒りを感じながら
布団の中から凍える朝を睨んだ
光と影
ねぇ、君知らなかったでしょ
君が今の今まで見てきた僕は『 影 』だったってこと
普通の人なら表向きは光の顔なんだよね
頭を良く見せたり、運動できるように見せたり
かっこよく見せるんだ、自分だけをね
みんなはいい部分を『 光 』っていうんでしょ?
なら、僕は君の前では『 影 』でいられてたよ
なに?僕は真面目だった?いいところしか見てない?
残念ながら、それが僕の『 影 』だったんだ
『 真面目にすることしかできない 』
『 つまらない 』
『 笑えない 』
それが僕の『 影 』なんだよ
君にだけはつまらない僕を見せることができたんだ
周りのみんなには
『 よく笑っていて 』
『 勉強もスポーツもできて 』
『 明るいムードメーカー 』
笑っちゃうね
僕の『 光 』をよく見てるみたい
だから、君は特別なんだよ
僕の 『 影と言う名の本心 』が見られてるのは
そして、
また、動き出した
いやだ、いやだ、いやだ
もう、こんな生活嫌なんだよ!
毎日毎日同じことの繰り返しでさ!!
うんざりだ、イライラする
でも、行動を起こせない自分にはもっと苛立つ
考えがまとまるまで同じ動きを繰り返す
貴方を助けるそのために
永遠にこの時空にいるのだから