〇ここにある〇
今まで生きた証がここにある
私の目に脳に身体に刻み込まれている
私が失いたくないものもここにある
生きた街、話す人々、私という存在の認識
ここにあるもの全てが私の全てだ
私を見失ったらきっと私は探すだろう
どんなに遠くを探しても見つからない私は
きっと、ずっと、ここにある
素足のままで
私は素足の人間が一番美しいと思う
薄く頑丈な皮膚
四角でも丸でもない歪なフォルム
なんでこんな綺麗な足を
布で革で隠してしまうのだろう
指の一つ一つを伸ばすのは気持ちがよく
誰にも邪魔されてない
だから私は部屋の中を素足のままで過ごすのだ
…もう一歩だけ…
君はいつも前を歩いていってしまう
村を守る勇者として、、、
私はただの魔法使い
君の後ろをついて回るだけのね
それより、君の横に立つその子
君の役に立てる僧侶の女の子
まぁ、そうだよな
君の横は彼女がふさわしい
私なんかよりずっと
けど、昔は親友だったんだよ
村一番のコンビだったんだよ
なぁ、今はこんなに差ができたけど
「君の横を歩きたい」なんて言ったらだめかな
そんなことを思いながら君を見る
いつも前を歩く君に少しの恋心を込めて
もう一歩だけ進んだ
_________________________
■ ■ ■ 見知らぬ街 ■ ■ ■
扉を開けた一瞬から長く時が経ち
真っ白だった目の前が暗くなる
ぽつぽつと点く街灯や窓
今さっきまで永遠を歩いていたとは思えない
扉の向こう側から
「じゃあね、世界を楽しんで」
手をひらひらと振る子供に感謝を伝え
見知らぬ街へ飛び出した
■ ■ ■ ■ #世界
__________________________
☇ 遠雷 ☇
遠くで音が鳴る
神様の腹の虫が鳴る
教室ざわめく3時間目
天気の様子を見る生徒
傘を忘れたと言う生徒
時は真昼の11時、給食まであと1時間ほど
黒板叩き注目を集める教師
ざわめきは一瞬にして消え去る
そうして私の腹の虫は神様によって
かき消されたのだった