彷徨う小話

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3/17/2024, 3:06:41 PM

『泣かないよ』

泣き虫の私は、お姉ちゃんに頼りきりだった
勉強、人間関係、時間、マナー、感情、視線。
少しでも嫌なことを考えれば、勝手に涙が溢れ、お姉ちゃんに泣きついた

でも、私より、お姉ちゃんが一番泣きたかったんだ。
だから、私は、泣かない。

…お姉ちゃんを支えれたのは、私だけだったから

3/16/2024, 1:55:16 PM

『怖がり』

人と話す時、人とすれ違う時、話し声が聞こえる時。
親と話す時、親を見かける時、怒鳴り声が聞こえる時
妹が俺を見る時、妹が寄り添おうとする時。

いつも、恐怖心が芽生えるのは何故だろう
いつも、不安感が精神を巡るのは何故だろう

恐怖心に覆われた身体は、いつしか動かなくなった

3/15/2024, 2:53:14 PM

『星が溢れる』

僕は、不死身だ。
不死身だから、空に還れない
輝く星になれない
周りの者は、不死身でない。
不死身じゃないから、空に還れる。
輝く星になれる。

長い年月が経ち、僕の友達は、みんな星になった。
きっと、これからも…
空には星が増え。溢れるのだろう。
僕独り残して、溢れるのだろう

3/15/2024, 4:52:15 AM

『安らかな瞳』

綺麗な、瞳だった。
瞳は、その人の積み上げた経験を写していた
でも、今は、動かない瞳だ

そこにあるのは、眠るように棺へ入った、兄さんだった。
頭が働かない中。
安らかな瞳だけが、私の視界に入っていた。

3/13/2024, 4:36:00 PM

『ずっと隣で』

私はいつでもお姉ちゃんの側に居た。
姉が病で動かなくなっても、ずっと隣に居た。
医者様が投げ出しても、親が投げ出しても、私だけはずっと隣に居たかった。

貴方がもう動く見込みが無くても。
姉が周りに死体として扱われても。
これからも、ずっと隣で居ようね

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