風信子

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9/25/2023, 6:32:50 PM




カーテンを開けると
動き回りながら
餌を啄む雀たち


おはよう

今日もいい天気



見渡しても
見たい景色は
ここからは見えない


いつもと変わらない
絵にもならない
見慣れた景色があるだけ



貴方が偶然通りかかる
なんて事
あるはずもなく


動かぬ貴方に会えるのは
この手の上にある
小さな窓の中だけ



もうすぐ
この窓の中の
景色も変わる


次の季節までには
真っ白に染まり
何も見えなくなるだろう





探す手だてを
一つずつ消した

探される道を
一つずつ閉ざした

探しながら
消して

探されては
見ないふりして


求めながら

手放した




馬鹿な私と
泣き笑いしながら



想い

断ち切るために



全て


忘れるために





「窓から見える景色」

9/25/2023, 7:48:59 AM








形が無くても
いつだって
意識している


見つめ合うだけで
手を繋ぐだけで
抱き合うだけで


伝わるものがある


形の無いものに
名前をつけて


思いを込めて
生きている



見えないもの


不確かなものを信じて




「形の無いもの」

9/23/2023, 10:31:27 AM





ゆっくりと
一つ一つ
灯りが消え


聞き慣れた
騒がしい朝の音が
近づいてくる


忘れていたかった
日常を連れて





叶わない約束を
沢山しよう


あやふやな二人は
いくつもの夢を口にした




あの夜

私に見せたいと
送ってくれた
空からの夜景


綺麗だと呟く
大好きだった
君の優しい声

もう聞く事は無い

 


分かってた


夜が明け
美しい夜景も
朝に溶け入って
消えるように



何もかもが

いつか覚める



夢だったの




              「夜景」

9/22/2023, 10:25:44 AM






声が聞こえる


押し込められていた
ほの暗い奥底から
重い蓋を押し上げて

溢れ出て来た言葉たちが
優しく悲しい
歌になる


曖昧さなど一つもなく
ただ本当を
聞いて
聞いて欲しいと




このまま記憶の中
錆び付いても構わない


いつか誰かが
口ずさんで


私を抱きしめてくれる





「声が聞こえる」




9/22/2023, 8:31:59 AM





切なさを選んだ
夏が遠ざかる



差し伸べられた
温度の無い手に

少し
縋った



期待を傷口に被せ

まだ時々
振り向きながら




分かってた

ただの依存



道は遠のき
虚しい風が胸に渦巻く



偽りの 秋恋




「秋恋」

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