形が無くても
いつだって
意識している
見つめ合うだけで
手を繋ぐだけで
抱き合うだけで
伝わるものがある
形の無いものに
名前をつけて
思いを込めて
生きている
見えないもの
不確かなものを信じて
「形の無いもの」
ゆっくりと
一つ一つ
灯りが消え
聞き慣れた
騒がしい朝の音が
近づいてくる
忘れていたかった
日常を連れて
叶わない約束を
沢山しよう
あやふやな二人は
いくつもの夢を口にした
あの夜
私に見せたいと
送ってくれた
空からの夜景
綺麗だと呟く
大好きだった
君の優しい声
もう聞く事は無い
分かってた
夜が明け
美しい夜景も
朝に溶け入って
消えるように
何もかもが
いつか覚める
夢だったの
「夜景」
声が聞こえる
押し込められていた
ほの暗い奥底から
重い蓋を押し上げて
溢れ出て来た言葉たちが
優しく悲しい
歌になる
曖昧さなど一つもなく
ただ本当を
聞いて
聞いて欲しいと
このまま記憶の中
錆び付いても構わない
いつか誰かが
口ずさんで
私を抱きしめてくれる
「声が聞こえる」
切なさを選んだ
夏が遠ざかる
差し伸べられた
温度の無い手に
少し
縋った
期待を傷口に被せ
まだ時々
振り向きながら
分かってた
ただの依存
道は遠のき
虚しい風が胸に渦巻く
偽りの 秋恋
「秋恋」
やっと訪れた
君を忘れている
刹那
時間よ止まれ
もう
思い出させないで
君のいない世界で
麻酔のように
夢も見ないまま
何も見ず
何も聞かず
何も考えず
何も思い出さず
ただ
眠りたいんだ
君のいない世界なら
眠らせてくれ
永遠に
「時間よ止まれ」