色褪せて
麻痺してくのを
待てず
沁みる痛みから
ただ
逃げたくて
躊躇いながら
捨てた
君との思い出が
まだ私の中で
舞うように
漂っている
良かった日々と
大好きだった
君の声が
胸の中
踊るように
ヒラヒラと
「踊るように」
もう
ここまでだ と
まだ
痛みを癒せず
涙も乾かないうちに
進めという
否
誰も
何も
言ってはいない
なのに
いつも何かに
追い立てられて
休む間もないまま
そこに留まる意味は無いと
耳には聞こえない
何かが
時を告げる
「時を告げる」
固く包み込み
守り抜いてきた
命が尽きて
役目を終え
柔らかな砂に埋もれて
眠る貝殻
崩れ落ちた
廃屋のように
気にも留められず
ただ静かに
夢を見てる
時々
綺麗だと拾われて
飾られて
日の目を見るけれど
すぐに忘れられて
時々
叫んでるんだ
あの潮の匂いのする
砂のベッドへ
僕を帰してと
「貝殻」
何も消えないし
流れ去りもしないけど
寄り道してくれた
通り雨に
ただ
濡れていたくて
誰もいない
真夜中の歩道
佇む自分に
容赦のない雨粒
カラカラに
乾いてた心に
冷たさが染み入り
ずんとした疼きが
遠のくように
ほんの少し
麻痺して
痛みも
少し
麻痺して
使い古した
穴だらけの雑巾のように
ボロボロになった自分が
何だかちょっと
笑えてきて
こんなんでもまだ
必死に息をしてる事に
滑稽ささえ覚えるけど
まだ
終わらない
終われない
終わらせる事は
いつだって出来る
夏の
優しい雨に
傘はいらない
「雨に佇む」
不完全さを嘆き
涙を見せまいと
後ろを向いて
肩を震わす貴方の
いつもより
小さく見える
強がりな
その背中に
どうしようもない
切なさと
とてつもない
愛しさを覚えて…
ねえ
話して
こんな私でよかったら
どんな
些細なことでも
なんだって
受け止める
長い間
こぼれ落ちるのを
耐え抜いた
その涙を
拭わせて
そして
抱きしめさせて
「些細なことでも」