風信子

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9/2/2023, 2:53:12 PM





揺れてるのは
街の灯

それとも
瞳の中の海



また
行きずりのように
いくつかの季節
歩みを並べ


優しさを
押し付けあった
日々を越えて


馴れ合いに潜む
一方通行のような寂しさに
全てを閉ざして
背を向けた


ただ
独りぼっちの
痛みの無い
優しい時間が
恋しくて




消えないよう
両手で包み込んでた
消えかかってた
小さな心の灯火



欠け始めた月を
眺めながら


何でもなかった

何も無かった と



そっと


吹き消した





「心の灯火」

9/1/2023, 2:43:12 PM






学ばずに
同じ事
繰り返して

何かが
少しずつ
変化して


長い時が過ぎた




いつも
見失ってしまう自分を

寄せては返す
波のように

いつの間にか
取り戻す



何も無くしてはいない


不完全と思う
ありのままが

最初から
完全に
完璧だから



もう
何もいらない


そうボヤきながらも


途切れることなく
息をし続けて


思考が
感情を抑え込むのを
俯瞰し


どんな道も
全て過ぎ去る事を
戻る波に見ている


分かっていても
どこか
捨て切れない


淡い期待に


苦笑いして





           「不完全な僕」

8/31/2023, 2:27:43 PM




昔つけてた
香水の匂い

思い出して

締め付けられるのは



想い出が
哀しいからじゃなく

誰かが
懐かしい訳でもなく

何かを悔いて
苦しいからでもない



言葉に出来ない
不思議な切なさに

喉が
締め付けられるのは



もう
二度と帰らない
二度と戻れない


再びは無い
過ぎ去った時代の中



必死に生きていた


確かに生きていた



そんな

全ての命達を


想うから





             「香水」

8/20/2023, 8:26:41 AM





今の私の

心の中は

黒光りしながら波立つ

夜の海のようです



あの日

想い引きちぎって

必死の思いで

終わらせたのです



胸を叩きながら

想いを止め

泣きじゃくる日々を

選んだのです




なのに



自分だけが

苦しいかのように

また

私を呼ぶなんて




好きだなんて

愛してるだなんて

絶対に

言わないくせに




そんな

ずるい貴方に

涙隠して

つく嘘が





だんだん


上手になるようです




「夜の海」

8/14/2023, 12:32:45 PM





時には
爽やかな風を受けながら


何十年ぶりかの
乗り慣れた自転車に乗って


まるで天まで続くような
長い長い坂道を


ペダルから
両足を離し


子供の時のような
ワクワクした気持ちで


何もかも
風に流しながら


スピードに乗って
下ってみたい




いつまでも


どこまでも





「自転車に乗って」

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