しを

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11/20/2022, 3:38:41 PM

毎晩毎晩、おまじないをかけるように母は言った。
「あなたは私の宝物」と。

幼い頃にはくすぐったいような、思春期の頃にはうざったいような気持ちで聞き流したその言葉は、歳を重ねるごとにただの習慣となっていった。

そんな宝物はいつの間にか大人になり、そんな習慣も忘れていった。

ある時宝物はふと気付いた。
毎晩毎晩、やわらかな髪を撫でながらおまじないをかけるように呟く自分に。

「おやすみ、ママの宝物ちゃん」


11/19/2022, 6:36:12 PM

「火が消えた後の匂いが好き」と言い合ったのはいつだったっけ。
バースデーケーキの蝋燭を吹き消したあと、あなたのことを思い出す。
夫と子どもに「ありがとう」と言いながらあなたを思い出す私は、きっとよくないんだろうね。
呪いみたいに残ってる言葉と匂いは、これからも消えてくれないんだろうけど、あなたにも同じ呪いがかかってるといいな。なんてね。