僕は雨が嫌いだ。
ジメジメじとじと、僕の体温変えてゆく。
雨になんか負けるものかと、僕はいつも傘を持たない。
僕は雨が嫌いだ。
雨の日は決まってあの子が
「一緒に帰ろう」
僕を誘い、同じ傘に招き入れる。
僕は雨が嫌いだ。
小さな傘に二人きり。
「離れてたら濡れちゃうよ」
触れ合う肩はどこかもどかしく、どこか照れくさい。
僕は雨が嫌いだ。
心地の良い時間はすぐに去り、別れの時間はやってくる。
僕の火照った体も、雨のせいですぐ冷える。
上げて落とされる気持ちはもう嫌だ。
僕は雨が嫌いだ。
今度晴れたら僕から誘おう。
「雨じゃなくても一緒に帰ろう」
雨の予報はまだまだ続く。
お題「梅雨」
例えばさ、とても暑い日は薄着になるよね
それでも暑いと、どうしても汗をかくよね
そしてたくさん汗をかいたら……透けるよね?
そしてさ、汗で透けるのなら
少量の水がかかっても……透けるよね?
殴りつけるように水がかかれば、当然、至極当たり前のように透けるよね?
踊りたくなっちゃうね。
でもさ、電気に当たってビリッとしても……透けるよね?
これはまた違うと思うんだ。
違う話だけど、強い風に襲われたら、ふわっとするよね?
短い人なんて……特にね?
もう、ガッツポーズだよね
一番許せないのはさ、とても寒いときだよね。
みんなガードが固くなるから、僕らの敵だと思うんだ。
思いつく限りの罵声をこれでもかと小一時間叫んでやりたくなるよね。違うかい?
うん、まぁ……だから何?って言われたらそれまでなんだけど
つまりはそういうことなんだ。
お題」天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、」
みんなよく聞いて。
いまここに、宝くじが1枚あります。
もしこれが当選したら、私の手元に1億入ります。
1億です。100万でも1000万でもなく、1億。
そして明日からは仕事しなくてすみます。
考えてみよう。
1億も持ってたら、美味しいご飯食べ放題!
好きなもの買い放題!美にも力入れ放題!
もう、バラ色の人生が待ってるの!
あ、でも1億なんて大金持ってたら、私狙われちゃうかも。
護身術とか習ったほうがいいのかしら。
お金の隠し場所も考えないと。
家の中においておくなんて……考えただけでも怖いわね。
かっこいい警備の人を雇って大きなお屋敷に住めば問題解決?
でもその警備の人がイケメンだったらどうしよう。
一緒に住んでもらったりして、同棲みたいな展開に?!
ワクワクしすぎてどうしよう。
こんな状態では明日の仕事は手がつかないよね
ミスしても仕方ないよね!なんたって私には1億あるんだから!
お題「ただ、必死に走る私。なにかから逃げるように」
場所はエレベーター内、通称『箱』だ。
俺は今、爆弾を抱えている。
それもとびきり大きいやつだ。それゆえ破壊力も凄まじい。
こいつが猛威を振るえば、この箱内の人間はひとたまりもないだろう。
だが安心してほしい、俺は虫も殺せない程に慈悲深い人間。
嫌な汗を滝のように流しながらも、大惨事にならぬよう必死に祈っている。
ここにいる人達は平和な奴らだ。
一緒に爆弾が乗っている事も知らず、アホみたいにただ階数表示する液晶をじっと見つめてる。俺以外のすべてが。だ。
死ぬのは一人でいい。
頼むから早く爆発する前に目的の階につくか、一人残らず降りてくれ。
そう願うも叶わず、徐々に増える人間。押され潰れる俺と爆弾。
もう乗れないよ。と悲鳴を上げる箱。
その満腹の箱が動いた瞬間、よろめいた人が俺の爆弾を刺激する。
あっと思った刹那に響き渡る破裂音。それと一緒に広がる異臭。
そう、屁が出たのだ。
周りの人間は一斉にしかめっ面をした。
鼻を押さえているやつもいる。
そんな空気を読めない箱は、能天気にも目的地についたよと合図をならした。
俺はゆっくり手を上げてこうつぶやいた。
「……おります」
お題「ごめんね」
「昔はさ、自信に満ち溢れてて、僕を見て、僕を見て。
と、薄着で走り回って、ありのままの自分を隠すことなく見せていてさ。
でも、いつの日か羞恥心を覚え、世間体を考え、次第に自分を隠す様に、守るように、厚着をして本当の自分を偽って生きるようになってさ。
でも、もう、どうでもいいやって。
本当の自分隠す必要ないんじゃないか?って。
暑い服を脱ぐように、自分の枷を外すように。
そう飛び出たのが今ってわけさ。涼しくてとても心地いいよ。」
「いや、だからって本当に服を全部脱ぐ必要ないよね?君は形から入るタイプなの?こうしてまた手錠はめられて、自由を縛られたら意味ないよね?反省してる?」
「………すみませんでした。」
お題「半袖」