【仲間】
好きなことばかりを追いかけてきた人生だった。
嫌なことからは逃げて、やりたいことだけをやってきた。
それで負債を抱えても、なんとなく好きだから続けてきた。
夢を語っても実現できないのなら意味はない。
そうは言わないけど、思ってもないけど、でもどこかで叶わないものだとも思っている。
反抗したいがための言い訳に、はぐらかすための方弁に。
どれが本当の気持ちなのかは自分にだってわからない。
そんな歩み方だから、仲間と呼べる者はいない。友だちはいても見ている先は別々で、共に進んでくれる仲間はいない。
当たり前だ。人が苦手で、ろくな関わりをせず、嘘で塗り固めて、内に潜めて来たから。
それでも、なぁ名も知らぬキミよ。
ここに集まって奇跡の星々よ。
あるいは運命に導かれた珍妙共よ。
魔法が解けるその日まで、
あの日語った夢が叶うまで、
理由を見つけた先で、
翼を広げて羽ばたき出して、
新たな土地でやり直しても、
それぞれのやり方で進んでも、
たった一つの栄光を胸に、
僅かな青春を謳歌しているのなら、
今だけは、ここに集ったからには、たとえ一夜限りの想いでも、同じ想いを叫んだことを覚えている限り、それは消えない。
これは、みんなで叶える物語。
これは、みんなでつなぐ歴史。
ならば私は、キミたちを仲間と呼びたい。
【さよならは言わないで】2023/12/03
【もう一つの物語】
【声が枯れるまで】2023/10/21
【忘れたくても忘れられない】
一緒にプロになろう。そう約束して、もう10年が経つ。
約束は思っていたよりもずっと早く叶ってしまって、曲を出してはライブをして、気づけばドームも目の前に見えて。一つ一つの積み重ねが身を結んだのは嬉しくて、共に過ごす時間が大切で楽しくて、そしてそれが崩れるのは一瞬なのだと実感するまでにそう時間はかからなかった。
「治ったらまた一緒にやろう」とか「頑張ってきたんだからひと休みするのもいいんじゃない?」とかそんな優しい言葉を告げられるたびに、キミたちとの約束を裏切り続けているこの胸の痛みを忘れたくても忘れられなくなる。
だから全部抱えていってしまおう。
だってキミたちの旅路を邪魔したくはないのだから。