一輪の花
一輪の花になれるとしたら
クリーム色のバラがいい
真紅のバラの様に
気高く、美しく無くて
ピンクのバラの様に
うっとりする程、可愛らしく無くて
真っ白のバラの様に
気品溢れ、清々しく無くて
クリーム色のバラならば
優しく、穏やか
都忘れはどうかしら
楚々として素敵だけれど
少し寂しげな気がするの
クリーム色のバラならば
花弁がぽったり厚くて
少しの風で戦が無い
一輪でも大丈夫
でも…
所々棘があります
魔法
子どもの頃、アニメのステッキを振ると、素敵な事が起こる魔法使いに憧れた。呪文よりも、ステッキを振るその姿に憧れた。
でも、大人になって、魔法は呪文即ち言葉にあるのではと気づいた。不安で揺れた時、傷ついて悲しみでいっぱいの時、大丈夫、大丈夫と心の中で繰り返す。時には胸に手を置いて。私にとっての魔法の呪文だ。若い頃は魔法なんて無いと思ったけれど…。アニメの様に劇的には変わらない。けれど、変わっていくと信じる力が、自分の中に少しずつ出て来る。
貴方の魔法の呪文は何ですか。
君と見た虹
数年前、雨上がりの夕方に虹が2本くっきり架かったのを見た。余りに驚いて皆を呼んだり、写真を撮ったりした。やがて虹は消えていった。その消え行く様もまた綺麗だった。
人もあんな風に消えていけたらと思う。誰の心も騒つせず、唯ああ良かったとしみじみ思えたらと…。でも人は神様じゃないから、そんなに美しくはいかない。
君と見た虹、
君が見せてくれた虹、
君に見せたい虹、
君と一緒に大切にしたい時間。
夜空を駆ける
夜空を駆ける事が出来たなら
あの子の元へふらりと出掛けて
お茶を飲んで
何でも無い様な顔して帰って来るのに
夜空を駆ける事が出来たら
あの街へ行って願い事を書いて
天灯を飛ばすのに
ペガサスの様に
夜空を駆ける事が出来たら、
広い空を自由に
彼方此方へ駆け巡りたいな
でも、もう少しして星になったら
夜空は幾らでも駆け巡れる
けれども地上には降りては来れない
やっぱり止めた
空は下から眺めるのが良い
晴れ渡った空も、月が出た夜空も
雲に抱かれた空も
ひそかな想い
もう長い間変わらない想い。
それは、母親になってからずっと変わらない子どもの幸せを願う想い。育てている間は、忙しさを理由に、手数を減らす事ばかり考えていた。本当は自分の時間が欲しかった。大正生まれの親に育った伴侶は、男が家事を手伝うという発想がなかった。両親も遠く、誰も手伝ってくれる人はいなかった。熱が出しても、夜中にタクシーで救急病院に行き、点滴をして、子どもが目覚める6時前には戻った。そんな親でも、何とか育ってくれた子どもたちが、どうか幸せでありますようにと願い続けている。
山だらけの人生の中、降り続く雪の晴れ間は必ず有ると信じましょう。そんな事を子どもたちへ、いや自分に暗示をかける。