『アンタが死んで…かなりの月日が経つな、今日はようやく覚悟が着いたんだ、だから、アンタに向けて手紙を書こうと思う。』
ここまで書いて俺はペンを止めた、
セイヤ「すまない、これが最初で最後の嘘だと誓おう」
本当は覚悟なんて、気持ちの整理なんて着いていなかった。今もどこかで、アンタが生きていて、ひょこっと帰ってくるんじゃないかと考えてしまう
セイヤ「アンタが死んだなんて、今でも信じられないな…俺の前で、死んで、もう既に葬儀もして、骨になったって言うのにな…」
小さなうさぎのペンダントを握りしめた
ワンダラーに突然襲われたな、あの時俺は言ったぞ?これは危険だ、1度準備を整えてから、って
連戦で既にボロボロだったアンタは、それでも戦うって言って、それで…
セイヤ「…わかった、俺はこっちをやる、だからアンタは…!危ないっ!」
一瞬のことだった、アンタの体が、貫かれた
セイヤ「おいっ!息をしろ、ゆっくりでいい、今から撤退して、俺のEVOLで病院まで、!」
主人公「けほっ、もぉ、むりらよ、あなが、ぽかんって、あいちゃっら、」
セイヤ「まだ間に合うかもしれないだろ!」
主人公「たとへ、いきたとしへも、わたひはもうだめらよ、だから、せいや、なかないで、?ごぽっ、いつもは、あんなにむひょーじょーなのに、そんなに、ないたら、かおがかたまっひゃうよ、」
セイヤ「それでも、いきててほしいんだ、!だから、そんな、そんな事言わないでくれ!」
主人公「せいや、あいしてるよ、元気でね…」
セイヤ「主人公、?なぁ、起きてくれ、!」
あのことからかなりの月日が経った今でも、思い出すと正直眠れない、いつもなら、いくらでも、アンタが寝すぎて体固まらないの?って心配するぐらいには寝れるんだがな…アンタのせいだぞ?
そこまで考えて、俺はまたペンを持った、これを書き終えたら、俺はこの手紙を持って、アンタの所にいこうと思う、死ぬ訳じゃない、届けに行くんだ
『アンタが死んでから、もう既に色々変わったぞ、アンタの席はもう無くなってしまったし、アンタが集めてたあのコレクション達は、今は俺の部屋に飾ってある、色々増やしたぞ。アンタのソファは俺の部屋でくつろいでる、アンタの事を忘れることなんて、俺には絶対に出来なかった。
それで、アンタは言うんだろうな?結構元気にしてたね、悲しまなくてよかった!って、そんなわけないだろう、アンタが居ないと、俺は顔が一つも動かない、近所じゃ偏屈じいさんとでも言われてそうだ、アンタと植えたりんごの苗木は、もう立派な大樹だ、近所の子供たちやお年寄りまで、勝手にもいでいく、まぁそれはいいんだが、次の季節は一緒に食べよう、甘い林檎だ。それじゃあ、今から俺はこの手紙をアンタに届けに行く。』
ここまで書いて、ようやく書き終えた
セイヤ「けほっ、はぁ、最後ぐらい、迎えに来て欲しかったが、まぁ、俺から行こう、待っててくれてないとか、そんな事言うなよ?」
そう言って、俺は最期の眠りにつく
𝑒𝑛𝑑
手紙を届けに、永遠の眠りへ
僕の、僕の彼女が死んだ
突然の事だった、トウから電話がかかってきて、
トウ「ホムラ!今やってるニュース、主人公さんじゃないか!?」
ホムラ「なんだい急に、ニュース?彼女がまた人を救ったんだろう?もう慣れたよ…」
トウ「違うっ!この、『女性深空ハンターが突然のワンダラー襲撃に会い、市民を逃がし、死亡…』年齢も、名前が、上の苗字だけ、出たんだが、主人公さんのと、同じなんだ…」
ホムラ「…は、な、なんだいその趣味の悪い冗談は、この前の個展に出席しなかった仕返しかい?
あまりにも、趣味が悪すぎる、言っていいことと悪いことが…」
トウ「そんなわけないだろう!こんなこと、冗談なら、良かったよ…」
ホムラ「…本当に、?」
トウ「…恐らく、今確認を取ってる、そっちからも頼んだ」
ホムラ「あぁ、わかったよ」
結果的に言えば、トウの言った通り、亡くなったのは彼女だった、昨日まで、僕のソファに座って、アイスを食べながらぐだぐだしていて、僕のキャンバスにこっそり小さな子豚を描いていた、彼女が亡くなった。
トウは気を使ってか、1度今入っている依頼を全てキャンセルしたらしい…トウらしくも無い、
葬儀はどうやら親戚だけしか出席できないらしかった、どれだけ頼んで、懇願しても、顔すら見せて貰えなかったよ、はは、神様は意地悪だね。
遺書なんかを用意していたらしい、まるで分かっていたのかな?どうやら僕宛のもあったらしい。
『ホムラへ
これを呼んでいるって事は、私はもう死んだのかな?それとも、隠し場所がバレたとか!?
まぁ、前者の前提で話を進めます。
ホムラ、今までありがとう、愛してたよ』
そこからはずっと愛の言葉ばかりだった、いつも照れてなかなか言ってくれないのに、こんな時だけ、こんなもので…ききたくなかったよ、きみのくちから、ききたかった、っ、!
最後にひと文、裏に書いてあった、
『ねぇホムラ、私の骨はね、あなたの故郷、リモリアの海に撒いて欲しいの、これはほかの人宛の手紙にも書いてあるから、きっとこの手紙と一緒に私の骨が渡されると思う、だからお願い、これが最後のおねだりだよ!』
あぁもちろん、君のお願いならいくらでも、って、いつもなら平然と言えたはずの言葉も、今はただの嗚咽としてしか出てこないよ、
うん分かった、彼女が無くなってから約2週間、ようやく覚悟が着いたよ。
そうと決まれば、!ということで、海にやってきた
5日もかかってしまったよ、途中で君が好きそうなお菓子とか、納豆味のチョコなんて物もあったんだ
思わず買ってしまったね、本来ならこんなもの海に入れるなんてだめだし海の神にも怒られてしまいそうだけど、最期なんだ、餞別として向こうで食べておくれよ。
ホムラ「今までありがとう、僕の、ボディーガード、いや、僕の愛おしい最初で最後の恋人さん」
あれから1ヶ月、今は大して前と変わりなく日常が続いているよ、レッドも元気にしているし、昨日は水換えもした、聞いておくれよ!ようやくレッドの恋人を連れてきてあげたんだ、名前はまだ決めてないけど、何がいいかな、今はお見合い中だよ、君がいたら、レッドに声援を送るんだろうなぁって、
君の代わりに僕が声援を送ってあげてるよ。
ねぇ、レッドも居るし、レッドの恋人もいる、
もちろん僕もいるよ?だからさ、早く生まれ変わって、僕の所へ来ておくれよ、猫でも僕は頑張って君のお世話にしてあげる!だから、会いたいよ…
𝑒𝑛𝑑
彼女だけが居ない、ごく普通の世界
主人公が死んだ
突然の襲撃だったらしい、その場にはハンターは主人公しかいなくて、必死に市民を逃がして、それで…どうして逃げてくれなかったんだ、市民は既に避難していたんだろう、もう少しで、応援も到着したらしい、なのに、どうして…
今週は俺も早めに戻れるから、朝になってもずっと居るぞって、嘘つかないでね、って言ってたのに、嘘をついて、約束を破ったのは、お前の方じゃないか。
なぁ、主人公、今までのは謝るからさ、もっとちゃんと、約束も守る、だから、謝らせてくれよ、顔をちゃんと見て、仲直りのお手紙だって、書くからさぁ…
マヒル「お願いします!せめて、せめて最後に顔だけでも見させてくれ!!」
火葬場の職員「…申し訳ございません、修復など施したのですが、見せれる状態ではございません…」
マヒル「それでもいいんです、せめて最後に、人目だけでも、妹に、主人公に会わせてください、お願いします…」
火葬場の職員「……申し訳ございません」
マヒル「そんな…」
結局主人公には会えなかった、はは、最後にぐらい、ちゃんと顔を見て言いたかったな、愛してる、好きだって、言いたかった、生きてるうちに伝えてればよかったな、いつも態度で示してるって言ってたくせに、それだけは伝えれなかった。隠してたんだ、ごめんなぁ、臆病なにぃちゃんで
あれから1ヶ月が経った、未だに主人公の死を受け入れられない自分がいる、パイロットとは言え、危険な仕事だ、死んで言った同士も居た、悲しかったが、乗り越えて元気でやってきた。
マヒル「はは、俺はここまでへこたれる性格だったのか、主人公が見たら、こっそりジュースでも置いて、肩でも揉んでくれるのかなぁ…」
俺は銀と金の林檎の2つのネックレスを握りしめた、あの時くれたネックレス、おそろいだったの知ってたんだぞ、こっそり自分もつけてたんだな…
マヒル「っはぁ、はぁ、夢、?」
主人公「兄さーん?いつまで寝てるの?兄さんがこんな時間まで寝てるなんて、酷い顔、悪夢でも見たの?」
マヒル「主人公、?
生きてたんだな、あぁ、よかった、よかったぁ」
そのまま抱きしめようとした、触れようとした
マヒル「っは、?」
辺りを見渡した、最近まともに掃除も出来ず、散らかった部屋を見た
マヒル「はは、そっちが夢で、こっちが現実なのか…会いたい、主人公、こっちでも、化けてくれよ、夢の中だけじゃなくてさぁ、現実でも幻でもワンダラーでもいいから…」
それから毎日、あの夢を見る、主人公は飯を作ってくれて、笑顔で、笑ってて、でも、触れようとするとすぐに消える。
マヒル「どうして、くそ、どうしてっ、!なぁ主人公、もう、にぃちゃんに触られるのは嫌なのか…?」
マヒル「にぃちゃん、お前に触れたいよ…抱きしめさせてくれ、よく、美容院に行くたびに、触ってって言ってたじゃないか…」
今日もまた俺は、甘くて柔らかい、幸せな夢に縋るだろう