恋人が天に旅立ってもう半年になる。毎年イルミネーションされたこの通りを通るたび、その人のことを思い出す。幼なじみの君は2人きりになるとなかなかシャイでびっくりしたよ。喫茶店でようやく話が弾んで嬉しかったなあ。この人しか私好きじゃないと思ったのに、なんで、なんで.....。あの日、愛を誓ったツリーの下に気づいたらいた。目を閉じると恋人とのたくさんの思い出が頭をよぎる。初めて一緒に作った料理を持って行って初めてピクニックに行ったこと。一緒に映画を見に行った後に2人してどハマりして映画の聖地巡礼もしたね。これからもっと楽しい日々を過ごすはずだったのに。顔を温かいものが伝う。でも神様は最後に私にプレゼントをくれた。私が彼のことを忘れてしまわないように。私もいつか向こうに行ったら彼に自慢してやるんだ。彼が見ることのできない神様からのプレゼントを。私は大きくなったお腹をさすって病院へ向かって再び歩き始めた。
冬になるとイルミネーションが街中を燦々と照らしている。でも僕は今イルミネーションに浸る気分になれなかった。なぜなら幼なじみとイルミネーションを見に行くという話になって2人で歩いているのだが、どうしても幼なじみを異性として意識してしまい、普段通りに話せない。いつもはこんなはずじゃないのに。お互いが下を向いて少し気まずくなってきたところで、幼なじみが言った。「あそこの喫茶店入ろうよ。」「そうだね。外寒いし。」2人で同じ暖かいコーヒーを飲む。暖かいコーヒーが冷え固まった心を溶かしたのか、今までが嘘かのように思い出話に花が咲いた。帰り道に大きなツリーがイルミネーションされているのを2人で見上げた。ふと視線があった。彼女が口を開いた。「好きだよ。」僕は目を見開いた。「僕も好きだよ。」僕たちは吸い寄せられるように歩み寄って、そっと口づけを交わした。
飛べない翼が私にはある。
昔は空を自由に泳いでいた。
まっすぐ飛んだり回転したり、他の子と並べて走 ったり何でもできた。
でも今は違う。
私の翼は悪い人たちによって手折られてしまった。
今はもう地をはいつくばって進むことしかできない。
飛んだ感覚を私の体は覚えている。
だから、余計に悔しい。
でも、私は少しずつ昔の自分を取り戻すためにトレーニングしている。
何度くじけそうになっても諦めない。
必ず飛んでみせる。
あの太陽にたどり着くために。
ありがとう。
悪い人たち。
私はもっと強くなったよ。
よくここに来たね。知りたいかい?君のもう一つの物語。
この世界には二つの世界がある。一つは君たちがいる現実世界。もう一つはパラレルワールド、並行世界。君の行動を決めているのは君じゃなくて向こうの世界の君なんだよ。
暗がりの中、路地裏の壁に背をつけ座り込んだ俺はポケットからライターを取り出す。タバコでも吸おうかな。何もかもどうでもいい気分になったとき、自分の左の手元に蝋燭を見つける。俺にはそれがここから抜け出す最後の希望のように思えた。手に持ったライターを蝋燭に近づけると火が灯って辺りを照らす。そしてまだ進んだことのない道へゆっくり歩き始めた。