ゆずの香りを嗅ぐと
子どもの頃顔を顰めながら入った
ゆず風呂を思い出す。
ゆずの香りが好きではないのに
いつもと違うのがなんだか物珍しくて
ぎゅうぎゅう握って汁を出していた。
ちなみに今でも。
温泉なんかにゆずが浮いていると
つい触ってしまう自分がいる。
ゆずの香り
そろそろ降るかな?
今日は降るかな?
キラキラした目で雪を待つ子どもたち。
冬は寒くて正直苦手だけれど。
めったに積もらない雪にわくわくしていた時が
自分にもあったな、と懐かしく振り返る。
雪が積もったら。
かわいい雪だるまを作って、全力で雪合戦をしよう。
雪を待つ
もしかしたら。
それが報われるところは
見られないかもしれないけれど。
それでも、日々子どもたちに
愛を注いで、注いで、注いで…。
縁あって出会えた子どもたちが。
この世界は楽しいと。
この世界は美しいと。
この世界は面白いと。
この世界は素晴らしいと。
そう、思えるように。
そうして、たまに。
思いがけない形で愛を返してくれることが
たまらなく嬉しくて。
どれほど忙しくても、ストレスフルでも。
この仕事を続けていきたい、と思わせてくれる。
愛を注いで
身構えて行った初めての海外。
まともに話せた言葉は
「Yes」「No」「Thank you」ぐらいのものだった。
それでも。
面白いことがあれば顔を見合わせて笑う。
いいことがあれば一緒になって喜ぶ。
困ったときには助け合う。
その時にその場にいる人々とのあたたかな交流を
これでもかというほど経験させてもらった。
たとえ、言葉が通じなくても。
表情とジェスチャーと、伝えたいという気持ちさえあれば
心と心は十分通じるのだ、と知ることができた。
心に国境はない。
あたたかく、幸せな数日間だった。
心と心
何でもないフリが得意だった。
時には、無理矢理笑顔を作って。
時には、自分の気持ちを押し殺して。
でも、これからは。
嫌なときには嫌と言うし
しんどいときには助けを求めようと決めた。
何よりも大切なのは
自分自身だから。
何でもないフリ