moooosha

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12/1/2024, 12:30:56 PM

[ドライフラワー]

つまらない話かもしれませんが
短い時間、お付き合いください。

「12月1日はみーちゃんの
お誕生日、みことの日だよ」
田村美琴は得意げに言った。
どうやら12月1日は
[命の日]という
すばらしい日、らしい。

正直興味がなかったので
ふーんと思っていた。
命という字が
「みこと」と読むことと
自分の名前の「美琴」を
かけて喜んでいたらしい。

小学生でこれを理解できるのは
なかなか、賢いんじゃないかと思う。

「誰にも秘密だけど
ドライフラワーって
小麦粉のことだと思っていたの、私」
呆れたことにこれも同じ
田村美琴の言葉である。
今度は小麦粉のFLOURと
花のFLOWERを間違えたようだ。
賢いんだか
ちょっとヌケサクなのかわからない。

うまく行っていると
小さくガッツポーズをする。

普段姿勢がいいのにしょげると
田舎のおばあちゃんみたいに
背中が丸くなる。

ファミレスでは隣に座りたがる
恥を知らない人。

スターバックスの
ブラックエプロンがいると
指名してまで作ってもらう
ミーハーな人。

誰もいない
深夜2時の交差点でも
信号を守る律儀な人。

ハンカチは持ってるけど
誰にも貸せない。
「使ってないからずっと新しい」と
言い張って同じハンカチを
ずっと持っているガサツな人。

でも
「ブーケはカランコエがいい
誕生花だし花言葉も素敵だよ?」
なんて可愛いことも言ったりもする。


「岡崎竜美って
地名があるんだって!
聖地巡礼しようよ!」と
新婚旅行を愛知県に
決めてしまった【岡崎美琴】と
[たくさんの小さな思い出]を
積み重ねて幸せにすることを
ここに誓います。


花言葉になぞらえて
もう一度プロポーズをします。


[あなたを守ります]
ずっと一緒にいましょう。



2024年12月1日 大安

岡崎 竜美

_____________________

たまたま今日が
12月1日だったこと。
#短歌のお題が
「ドライフラワー」だったこと。
今日の誕生花が
カランコエだったこと。
その花の花言葉が素敵だったこと。

命の日という
なんか尊い日だったこと。

岡崎竜美という人名ぽい地名を
目にしたこと。

それらの偶然と
たまたま共通の趣味がある人と
チャレンジをしたことでできた作品。

結婚式での
新郎から、新婦への手紙。
長く一緒にいたから
ちゃんと言えてなかったことが
あったんだと思う。

11/18/2024, 9:51:39 AM

冬になったら

湯川さんは言う。
「また、ここに来よう」

私は間髪入れずに、頷いたけれど
それは叶わない約束だと
直感していた。

[作成中なので、冒頭だけ投げました]
お題キープ。

10/14/2024, 11:48:14 AM

高く高く

9/22/2024, 7:30:47 AM

【秋恋】

秋恋

誰にでもあるかもしれないし
私だけに起きたことかもしれない。

近所のスーパーが改装リニューアルオープンイベントをやっていた。
特段待ちに待ったというわけでもないが、家から1番近い店だったから、ついでの買い物をしに立ち寄った。
記念セールということもあり思っていたより買ってしまった。
持っていたエコバックに入りきらない、4枚切りの超熟をプラプラと遊ばせながら店を後にした。

家に帰るまでの道すがら、小さな公園がある。
砂場と鉄棒、ゾウやパンダのスプリング遊具、キリンが首を垂らしているすべり台。
沢山の木々が公園内に柔らかく影を落とす。
季節がいい時にはベンチで読書をしたりする、お気に入りの場所だ。

ここを突っ切ると若干の近道になることと
なんとなし警備のような気持ちで、公園内を歩くようにしている。
今日も子供はいないなあと通り過ぎようとしたら
大きな子供がいた。
いやあれは大人だ。

先ほどのスーパーの入り口で配っていた、宣伝文句がデカデカと印字された風船が木の枝に引っかかっている。
ジャンプをしたりなんだか手をバタバタさせている。
まわりに子供がいないことを確認して改めて驚く。
あの人、一人で何やってるんだろう。

あまりにじっと見すぎたのか、目があった気がした。
視線を逸らし1、2歩歩き出した時「あの!」と声をかけられた。
常々面倒ごとに首を突っ込みやすいのは長女だからだろうか。

足を止めて[子供に見える大人]の方に視線をやると、彼は安心したような顔で笑う。
「よければ、手伝ってもらえませんか?」
長女には効く文句、よければ。
よくないことなんてない、頼られたらだいたい嬉しい。

「手を離しちゃったんですか?」

ぼーっとしてしまって。と彼は言う。

「どうやって取りましょう?」

「いや、いいんです」

あいつが飛べる瞬間を見届けて欲しいと、風船がよく見えるであろうベンチを指さす。
怪しさの中にも清潔感もあり無害そうな人をむげにするのは、気が引けたので共に見届けることにした。
災害時、トイレにもなるコンクリ製のベンチは、日陰だと少しだけ冷たい。

「今日は35℃もないんですね」

「十分、暑いですけどね」

「蝉は35℃以上だと鳴けないそうです」

「知らなかった、そうなんですか?」

「ええ、僕も最近知りました」

ジーワジーワと鳴く声を聞いて
蝉も暑さに弱かったりするのかなと思った。
1日1件投稿するXのネタができたのは収穫だ。

彼は面白い人だった。
その場だけで完結する、最高の会話をたくさんした。
あと何分であの風船が飛び立つか予想しよう、から始まって
感情に色をつけてみましょう、とか
太陽に名前をつけるとしたら、とか
好きな季節とその理由、とか。

さみしいの色は薄めの青色。
太陽の名前は勤勉熱血太郎くん。
好きな季節はやはり夏、祭りの屋台のソースの匂いは唯一無二だね、なんて得意げに。
彼が話題を出して、彼が自分で話す。
その答えになんで?どうして?と子供のように質問をしていたら、その瞬間は唐突に来た。
風がびゅっと強く吹き、赤い風船は飛び立った。



「どう、見えてるんだろう」



初めて私から言葉をかけた。



「どうでしょう、不自由に見えているかもしれませんね」



主語もない私の疑問に100%の答えをくれた。
私は、
はたから見た私たちのことでも、たった今、しがらみから解放された風船の、宇宙的な視点のことでもなく

【地上を這いつくばって生きている人間】が、どう見えるのかと、問うたのだ。

ベンチから立ち上がり手でひさしを作ると高く、高く登っていく自由な風船を見送った。
後ろから聞こえる「ありがとう」と言う声に「うん」とだけ答えた。

しばらく揺れる赤い点を見送ってから、ベンチのほうを振り返ることなく、私は去った。
もう人影がないことだけはわかっていたから。

家に帰りパソコンの電源を入れる。
[風船、どこまで飛んでいく]
[蝉、35℃鳴かない]
気になったことを淡々と調べ
心にメモをする。

調子が良ければエベレストと同じくらいの高さまで風船は飛ぶし、蝉の寿命が7日というデータはもう古いということ。
きっと、木の上、空の上から人間は
不自由な生き物と思われているということ。


あの日見上げた空に舞う風船がまだ目の中に焼き付いている。



__________________

唐突に終わりましたが
反省と自戒のために書きます。

一夏のふしぎ体験の相方を、お化けと捉えた方も、少し運動音痴な忍者と捉えた方も、いるかもしれません。
作者は【蝉】を想定しております。

昆虫は
寒色しか認識しないそうです。
ではなぜ赤い風船にしたか?
これは幼少期に読んだ本と関係があります。
心に宿した初恋を【赤い実】と比喩した作品に出会ったことがありました。いうたらオマージュです。

触角はあるはず!
にほいを嗅ぐ能力もある、はず!!祭りの夏、羨ましく焼きそばを見てたのかもしれない。

35°以上では鳴かない、私も今年はじめて知りました。

【空蝉うつせみ】は蝉の抜け殻を示す言葉で風船も空っぽかも?とか思ったりしていました。

設定は元々普通の男女の会話劇にしようと思っていたのですが、ね、何かが起きますよね。アハハ。

9/16/2024, 10:01:38 PM



空が泣く
•雨さぁさぁ、しとしと、ザーザー
•あられぽつん、コツン
•雹ピンカラコン、ボツボツ
•雪しんしん

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