彼とはアルバイト先で出会った。
当時営業職でスーツを着ていたので「大人の男の人だなぁ」というのが第一印象。
歳は6つ離れていたけれど2人共バイクが好きで、すぐに休日に遊びに行くような友達になった。
まだ成人前だった私にいろいろな遊びや美味しいお店、景色の綺麗な場所も教えてくれたね。
とくにお互い恋愛感情があるわけでもなく、兄妹の様な居心地の良い関係がとても好きでした。
実の兄よりも兄らしく、頼りがいのあるお兄さん。
いつも会うと笑顔で迎えてくれて当時の私にとって安心できる唯一の時間でした。
ある日あなたが泣いている姿を見ました。
それまで1度も感じた事がない胸が締め付けられるような思い。
何が起きても…身近な人が亡くなった時でさえも(そういうものなのだろう)としか感じなかった私の初めての感覚でした。
その人とはその後嬉しいことも悲しいこともたくさんあったけれど、いつしか自然と連絡を取ることが減り会うことも無くなった。
今思えば性別をこえて恋愛関係でもなく、そこまで寄り添えたのは後にも先にもこの人だけだろうと思う。
大切な思い出をくれた君。
あなたは今幸せですか?
小さな命
小さな命と言われているものほど生に貪欲で心身ともに汚れなき美しい姿だ。
動物も人の子も。
そこに手を差し伸べるのかどうかはあなた次第。
それらを傷つけ汚すのもあなた次第。
だけど私は前者の人間が多い世界だと信じたい。
いつも自由奔放で好奇心の塊みたいにいろんな事に目を輝かせていたね。
食べる事が大好きで丸みをおびた柔らかい体に触れるのがとても好きでした。
家に帰るといつも嬉しそうに出迎えてくれたけれど、出かける時は寂しいのかそっぽを向いていた事を覚えています。
年を取って体が弱くなってだんだんと出かける回数も減って…それでも帰ると変わらずに出迎えてくれたね。
君と最後に会った時は家を出る時はいつもは見送りをしてくれないのに、玄関まで出てきて顔をじっと見つめてきたから不思議だった。
まさかあれが最後になるなんて思わなかったんだ。
もっとたくさん一緒にいてあげられたら良かった。
何をするにも全力だった君。
でももう少しゆっくりしていって欲しかったよ。
もう会うことは出来ないけれど、それでも私は君といれた時間はとても幸せでした。
君はどうだったかな?
少しでも幸せでいてくれたなら嬉しいです。
ずっと忘れない。
愛犬、私の愛娘のさくらへ。愛を込めて。