〚たくさんの想い出〛
高校2年生の夏
今まで歩んできた人生に思いを致す
極端に少ない友達
恋愛経験ゼロ
テストの点も人並み
人と話すのが苦手で、周りの雰囲気を気まずくしては過度に落ち込む
学校以外は家でひたすら勉強や読書にふける毎日
はたから見たら普通以下の人生
「高校生か、一番楽しい時期だね!」
「青春満喫しな!」
「若いってのはいいね〜」
大人からの言葉が私にとっては苦しかった
だって今の私は全くと言っていいほど人生が楽しくない
学生時代を楽しめない私は大人になったら一体どうなってしまうのだろう
ちゃんとした社会人になれるだろうか
そんな不安が頭から離れない
私にはたくさんの想い出なんかない
だから、大人になった時「学生時代、繊細で敏感な自分に苦悩していたけど、あの経験は人に優しくある上で大切だったんだな」と、そう今の自分を肯定できる将来であってほしいと密かに願っている
〚冬になったら〛
いたるところに置かれたクリスマスツリー
大量発生するサンタさん
どこからともなく聞こえてくるジングルベルのメロディー
しんしんと降る雪
普段とは少し違うあの独特な雰囲気が好きだ
〚はなればなれ〛
君は遠くに行ってしまうんだね
はなればなれでも、心は繋がってる
だから寂しくなんかないよ
そばにずっといたら、喧嘩したり嫌な部分が見えちゃったりするもんね
たまには距離を置くのも大切
本当の「はなればなれ」にはなりたくないから
〚子猫〛
無垢でピュアで、おまけに可愛い
食べては寝て、ある時は遊んで
とっても羨ましい
―――1年後、ひょんなことから猫に生まれ変わった
念願の猫生活だったが、思ってたのと違う
猫は猫でとても大変
仕事や学校、全てから開放された多幸感を満喫していたのもつかの間、「なにかをする」よりも「なにもしない」ことのほうがつらいのだと気づいた
やっぱり人間に戻りたい
〚秋風〛
オレンジ色に染まった夕焼け空の下を泣きながら歩いた
秋風が優しく頬を撫でる
もっと強い、乱暴な風で涙も感情も吹き飛ばしてほしい
秋は私にとって優しすぎだ