〚また会いましょう〛
突然の雨
ベランダに干していた洗濯物を慌てて回収する
しかたなく六畳一間の散らかった部屋にぎゅうぎゅうに干しなおす
すると、真っ白なはずのTシャツに黒い点が見えた
目を凝らすと、
鋭利な触覚、光沢のない黒褐色の体色、そして異様に長い触脚
全人類が不快感を感じるであろう、
Gがそこにいた
私はわけのわからない言葉を叫びながら、Tシャツを思いっきり遠くへ投げた
Tシャツはきれいな放物線を描き、皮肉にも私のベットに着地した
最悪だ
Gのいるベットで寝ることなど到底できない
私は恐怖やら怒りやらの感情に任せて、Tシャツをバッと広げた
しかしそこにGはいなかった
六畳一間の角部屋、
1人ベットの前に立ち尽くし、罪人のようなヒステリックな笑みを浮かべ呟いた
「また会いましょう」
〚スリル〛
ある暗い夜、恐ろしい森の中を一人で歩いていると、不気味な音が聞こえててきた
心臓は激しく鼓動し、背筋が凍りつくほどの緊張が走る
不思議な力が私を引き寄せ、そのまま森の奥へと進んでいくと、薄暗い光が一筋目に見えた
まるで秘密の扉が開かれる音がした瞬間、目の前に待ち受けていたのは、驚愕の光景だった
これからスリル満点の冒険が始まる
〚飛べない翼〛
飛べない翼だからといって、コンプレックスに感じないで
その翼は君の一部なんだから
君にしかないたった一つの翼なんだから
もし君が自分の翼を厭わしく思うなら、私がそんなの吹き飛ばすくらいに愛してあげる
君が自分の翼に自信を持てるまで
〚ススキ〛
果てしなく続く広大なススキたち
夕日に照らされ、いっそう儚く輝きを灯す
「きれいだなぁ」
そう口に出さずにはいられなかった
心地よいそよ風が秋の香りを運び、私の体を優しく包み込む
なんだかこうして秋を感じたのは幼少期以来かもな
〚意味がないこと〛
「やっても意味がない」
この言葉のせいで何度挑戦を放擲してしまったことだろう
意味の有無に限らず、何事にもチャレンジする精神力があれば、今の自分は別人だっただろうな