〚子猫〛
無垢でピュアで、おまけに可愛い
食べては寝て、ある時は遊んで
とっても羨ましい
―――1年後、ひょんなことから猫に生まれ変わった
念願の猫生活だったが、思ってたのと違う
猫は猫でとても大変
仕事や学校、全てから開放された多幸感を満喫していたのもつかの間、「なにかをする」よりも「なにもしない」ことのほうがつらいのだと気づいた
やっぱり人間に戻りたい
〚秋風〛
オレンジ色に染まった夕焼け空の下を泣きながら歩いた
秋風が優しく頬を撫でる
もっと強い、乱暴な風で涙も感情も吹き飛ばしてほしい
秋は私にとって優しすぎだ
〚また会いましょう〛
突然の雨
ベランダに干していた洗濯物を慌てて回収する
しかたなく六畳一間の散らかった部屋にぎゅうぎゅうに干しなおす
すると、真っ白なはずのTシャツに黒い点が見えた
目を凝らすと、
鋭利な触覚、光沢のない黒褐色の体色、そして異様に長い触脚
全人類が不快感を感じるであろう、
Gがそこにいた
私はわけのわからない言葉を叫びながら、Tシャツを思いっきり遠くへ投げた
Tシャツはきれいな放物線を描き、皮肉にも私のベットに着地した
最悪だ
Gのいるベットで寝ることなど到底できない
私は恐怖やら怒りやらの感情に任せて、Tシャツをバッと広げた
しかしそこにGはいなかった
六畳一間の角部屋、
1人ベットの前に立ち尽くし、罪人のようなヒステリックな笑みを浮かべ呟いた
「また会いましょう」
〚スリル〛
ある暗い夜、恐ろしい森の中を一人で歩いていると、不気味な音が聞こえててきた
心臓は激しく鼓動し、背筋が凍りつくほどの緊張が走る
不思議な力が私を引き寄せ、そのまま森の奥へと進んでいくと、薄暗い光が一筋目に見えた
まるで秘密の扉が開かれる音がした瞬間、目の前に待ち受けていたのは、驚愕の光景だった
これからスリル満点の冒険が始まる
〚飛べない翼〛
飛べない翼だからといって、コンプレックスに感じないで
その翼は君の一部なんだから
君にしかないたった一つの翼なんだから
もし君が自分の翼を厭わしく思うなら、私がそんなの吹き飛ばすくらいに愛してあげる
君が自分の翼に自信を持てるまで