『眠れないほど』
眠れないほどに君を愛して止まない。
幸せなはずが、殺して欲しいほどに苦しく藻掻く夜。
じわっと滲む涙。嗚呼、溢れてくる。頬をつたる。
君には見せられない。
自信の無い僕は息を殺して泣き叫ぶ。
今日も明日も明後日も藻掻き苦しむよ。
それほどに君を愛し、縋っている。
こういう所が面倒臭いんだよね。自己嫌悪。
隣ですやすやと心地良さそうに眠る君を見て安心と不安に挟まれて
目だけは瞑って大丈夫、大丈夫だと言い聞かせて。
結局。眠れないほど苦しい夜。
『意味がないこと』
意味がないことなんてない。
一つ一つにちゃんと意味があるのよ。
それは誰にだって。何にだって。
何も考えずただボーッとするのも。
夕日を見ながら時間を忘れて黄昏れるのも。
使い方も分からないカメラを衝動買いすることさえも。
意味がない、ナンセンスだと笑われても。
そこには一人一人の思想が存在する。
でもそれは、きっと本人にも理解し得ない、深い意識の感情や価値観なのね。
だから人は"そこに意味がない"なんて悲しいことを言うのね。
否定しないで。そういう日々を辿るの。
そう。意味がないことなんてない。
『あなたとわたし』
「ねぇ、わたし達もう出会ってこんなに月日がたったよ。記念日だね!」
一緒にBBQにも行ったし、飲み会にも参加したよね
旅行にも行ったし、一緒に勉強もしたよね
楽しかったなぁ、幸せだったなぁ
それなのに最近あなたはわたしを避けてるね
ひどいなぁ、こんなに想いあってるのにさ
たしかにあなたは最初からみんなの前ではお調子者で人気者なのに
わたしの前では中々顔も見てくれなかったし、中々喋ってくれなかったよね
恥ずかしがり屋で可愛いなぁって嬉しいような寂しいような
でも好きだからいいやって
みんなにも応援されて、ほら良く相談乗ってもらってたじゃん?幼なじみの女の子とか、大学の男友達とかに
あ、わたしの話してくれてるって1人ではしゃいじゃった
それなのに、なんで避けてるの
帰りのルートも変えちゃって一緒に帰れないじゃん
最近はあの子を誘うから2人きりにもなれないし
酷いなぁ酷いなぁ、憎いなぁ憎いなぁ、辛いなぁ辛いなぁ
好きなのになぁ
でも今日は記念日だもんね、お祝いしようね。これからもあなたと。
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「おいまた、あのこ」
「そろそろ警察行った方がいいって」
「大学入学後すぐ目付けられてお前も大変だよな」
「ストーカーって警察動いてくれんの?」
「もう引っ越す?」
「無視してんのに意味ないんだよ」
「話したくないって言っても照れ隠しだなんだーって」
「お祝いってなんだよ」
「ルート変えても意味ないって」
「写真にも写り込むし、全部の行事着いてくるし、なんなんだよ」
「あんな女のせいで毎日家までごめんな」
『街の明かり』
夜にさ、2人で散歩するのが好きなんだ。
ゆっくり流れる時間と共に進んで。
高台なんかに登ったら夜景が綺麗でキラキラしてて
めいっぱいに眩しく広がるんだよ。
そんな街を眺めながら語るんだよ。
未来、夢、希望なんかを。
ほら、キラキラして街に負けてないでしょ。
嬉しい気持ちと一緒に家へ帰って
明かりが消える頃、静かに眠りにつくんだ。
『やりたいこと』
「ねぇ、私君のやりたいことがしたい」
無邪気に笑いながら僕に話しかけてきた。
僕は少しふてぶてしく「別にいいからそういうの。」こう返事した。
僕のやりたいことってなんだよ。何も思いつかない。
僕は所謂痛い奴だろう。
この世界になんの希望も持ってない。何も期待していない。諦めに諦めて、「あぁつまらない」なんて悲観的になる。
そんな僕に飽きず話しかけてくる。それが彼女だった。
この世界全部がキラキラしてるみたいな、希望に満ち溢れてるような瞳の奥をガラス玉みたいに輝かせて近づいてくる。
僕は彼女が苦手だ。いいや、嫌いだ。
そう思わないと、僕も瞳に光を宿してしまうじゃないか。
ああ素晴らしい世界と思ってしまうじゃないか。
ばかみたいに無邪気に笑ってしまうじゃないか。
彼女を求めてしまうじゃないか。
期待したっていいことなんて無いはずなのに、だから僕は彼女を嫌う。フリをする。
それでもやっぱり今日も諦めず話しかけてくる彼女。
「ねぇ、私君のやりたいことがしたい」
そうか、じゃあ僕は「君のやりたいこと。」
少し照れながらそう流されてみた。