無意識に姿を探して目で追う
話していると知らず知らず笑顔になる
なぜか貴方も、私を見かけるとコチラに寄ってくる
なぜか話していると、欲しい言葉をくれる
一緒に居れるなら延々と一緒に過ごしたいし
別れ際が寂しい
次に会えるのはいつだろうと
また、無意識に考えている
これは、この気持ちは、
恋か、愛か、それとも
まだ友情の範囲?
答えは自分の中で
とっくに出ているはずなのに
気づかないふりして
今日も貴方に会う
お題『恋か、愛か、それとも』
視線がいつもより低い。建物も看板も人も高くなった?いや、俺が小さいのか…?
(なぜ小さくなった?俺は何処に向かっている?)
そんなことを考えている間にも、俺の意思とは無関係に身体は動いていく。どうやら夢を見ているようだ。
見慣れた街並みを抜け、公園の中へ。遊具エリアを通り過ぎて敷地の奥まで進み、茂みを一つかき分けると突き当たる大きな木を、右から裏手に回る。
次の瞬間、目も開けられないほど光が溢れ、景色が真っ白になる。徐々に眩しすぎた光がおさまると見えてきたのは、先ほどまでの公園ではなく、現実味のない不思議な空間だった。大小、様々な大きさの水の玉が宙を漂っている。水の玉そのものが淡く発光しているので、足元が地面ではなく水面であること、なぜかその水の上をペタペタと歩けていることが分かった。
懐かしい、と不意に思った。
そう、俺は、この光景を知っている。
「約束どおり、来たか」
不意に、澄んだ声がこだまする。声の方を向くと、白の衣をまとった少女が立っていた。
「もちろん」
夢の中の俺は得意げに答えている。
「確かに、私が言ったとおりに10日間、同じ時刻、同じ道順を辿り、お前はここに来た。だから私も約束は守ろう。だが、本当にいいのか?」
「なんで?」
「前にも説明したが、人ならざる私と縁を結び、契約関係を持てば、現実の世界に影響が出る。本来なら見えぬはずのモノが見え、聞こえぬはずのモノが聞こえ、それは時としてお前を煩わせるだろう。それでもいいのか?」
「だって、そうしないとキミにはもう会えなくなる。オレは、キミに会えなくなる方が他の何よりもイヤなんだ」
「…わかった。では、これ以上は私からは何も言うまい。…契約の時だ」
少女の周りに光が集まり、彼女を完全に包む。
「汝の求めに応じ、我は汝と契約す。我が名を呼び求めさえすれば、いつ、いかなる時にも、汝の元へ現れる。忘るることなかれ、我の名は、―――」
ジリリリリリリリ
けたたましいアラーム音で目を覚ます。見慣れた天井のはずなのに、他人の家みたいな違和感があるのは、先ほどまで見ていた夢のせいに違いなかった。いや、正確には単純な夢ではなく、幼い日の記憶を辿った夢だ。
なぜ、今の今まで、あの日のことを思い出しもせず過ごせていたのか。なぜ、今、思い出せたのか。
そんな「なぜ」がどんどん湧いて出てくるが、頭を振って思考を停止させる。
(待て。ちゃんと思い出せ。あの日、確かに俺はあの少女と、彼女と契約した。彼女の名は、たしか)
『水月(すいげつ)』
口にした途端、頭に声がこだました。
「全く。あんなに可愛らしく『絶対、名前呼んだらすぐ会いに来てよね。約束だよ?』とか言っておきながら、あのあと一度も呼ばなかった奴が、急に呼び出したりするんだからな」
ガバっと起き上がると、ベッド脇には見慣れた、そして、ひどく懐かしい姿があった。
「…久しいな、少年。約束どおり、会いに来たぞ」
-一旦、終わり-
お題『約束だよ』
しっとりと潤いを含んだ空気
汚れや余分なモノが洗い流されたような
サラッとした匂い
葉の上の水滴は煌めいていて目を奪われるし
運が良ければ散歩中のカタツムリや
空にかかる虹に会える
だから雨上がりは好き
お題『雨上がり』
勝負ごとの勝ち負けなんて気にも留めなくなったのは、自分がいくつの時だったか。まだ10歳にはなってなかったはずだが、もう覚えてもいない。
ゲーム、じゃんけん、かけっこ…。
こちらが勝ちすぎると不貞腐れたり機嫌の悪くなる友達を何人も見ているうちに、周りの空気が悪くなるくらいなら、別に勝てなくてもいいやと思うようになった。
すると今度は負け続ける俺を見て「手を抜きやがって」と怒る奴が出てきた。実に面倒くさい。
結局、周りが気づくか気づかないかレベルで手を抜いたり本気を出したりして、『ちょうどいい塩梅』に勝ち負けの比率をコントロールする癖がついてしまった。
日常生活を送るには、その方が都合がいいことが多いので、これでいいと思っていた。
…コイツに出会うまでは
お題『勝ち負けなんて』